37歳社長が語る、半導体商社の成功秘訣
トナリズム株式会社(神奈川県川崎市)は、半導体商社として2024年5月に創立6周年を迎える。その社長である新川裕也氏は、大学で心理学を学び、理系の世界とは無縁だったが、2022年と2023年の2年間で74億円の半導体を売り上げるという成果を上げた。新川氏が半導体商社で成功した理由について、彼自身が語る。
新川氏が半導体商社の事業を本格化させたのは2021年6月で、当時は彼一人だけの会社だった。しかし、その月の売上はすでに1億1500万円で、その後も順調に売上を伸ばし、2022年3月期には31億円、2023年3月期には43億円の売上高を達成した。
新川氏がこれほどの売上を残せた背景には、世界的な半導体不足があった。新型コロナウイルスの感染拡大により、2021年から2022年にかけて半導体の需給が逼迫した。新川氏は独立するまで、外資系の半導体商社に6年間勤務し、半導体の営業としてキャリアを重ねた。その経験があったからこそ、需給が逼迫する中でも顧客に求められた半導体を確実に確保し、届けることができた。
デジタル化に欠かせない半導体といえども、実際に売り買いをするのは人間であり、営業には極めてアナログで人間くさい要素が求められる。新川氏は「顧客との雑談一つとっても、何かテーマや狙いを持って臨むべき」と考え、その姿勢を大切にしてきた。
新川氏が半導体不足を確信したのは、取引先から突然、大口の発注を受けたときだった。その「異変」に気付けたのは、それまでに見積もり依頼に答え続け、取引先との関係を保ってきたからだという。
しかし、半導体業界はコロナ禍の混乱を教訓に、生産ラインの見直しや在庫確保など、様々な対策をとっている。そのため、新川氏は「当時のようなレベルの需給逼迫は二度と起こらない」と考えている。そのため、トナリズムは経営の多角化を進めており、半導体の緊急調達にとどまらず、自ら開発・製造に着手している。
現在、トナリズムは海外グループ会社を含めて社員33人で、3年後の2027年には社員50人で売上55億円、10年後の2034年には社員300人で売上500億円の規模まで成長することを目標にしている。