PFUの外観検査設計自動化ソリューションがNEDOコンテストで第1位を受賞
株式会社PFU(社長執行役員:平原 英治、以下PFU)が事業化に向けて開発している「『作る前に品質を決める』外観検査設計の自動化ソリューション」が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下NEDO)が実施する「NEDO Challenge 製造業DX ~製造技能の伝承・新たな製造ノウハウの構築をデジタルで実現せよ~」において、テーマ2「新たな製造ノウハウの構築に関するデジタルソリューション開発」で第1位を受賞した。
本ソリューションは、製品の設計情報や加工情報をもとに、外観品質の定義から検査設備の構成検討までをバーチャル空間上で支援するデジタルプラットフォームである。設計段階で外観品質と検査条件を具体化し、その情報を製造・検査および検査設備の構築へデジタルでつなぐことで、量産後の手戻りを抑制するとともに、現物や熟練者の経験に依存してきた外観検査の進め方を変革することを目指している。
開発の背景とNEDO Challengeにおける評価
製造業の外観検査では、製品図面に「傷なきこと」「不具合なきこと」などの表現が用いられ、具体的な良否基準が製造後の現物確認で決められるケースがある。このため工程間で品質に対する認識の差が生じやすく、熟練者が経験に基づいて照明やカメラの選定、サンプルの収集、検査条件の調整を行って品質を担保する現場が多い。こうした進め方は検査設備構築の長期化や手戻り、出荷後の品質問題につながる要因となり、人手不足や熟練技術者の減少に伴う技能継承の仕組みづくりも課題となっていた。
PFUは課題の本質が「製品を作った後に品質基準や検査方法を決めていること」にあると捉え、設計段階で外観品質を具体化する仕組みの開発に取り組んでいる。
コンテストでは有用性、利便性、安全性、独創性および社会的効用などの観点から審査が行われた。審査委員の大坂 弘美氏(MHI Executive Experts株式会社 シニアテクニカルアドバイザー)からは、製品を作った後の検査工程だけを効率化するのではなく設計段階にさかのぼって外観品質を定義するという問題設定や、設計、製造・検査、検査設備構築の工程を横断して課題を解決する構想について評価を受けた。PFUは今回の受賞を受け、事業化に向けた開発と検証を進めるとしている。
外観検査設計の自動化ソリューションが持つ4つの特長

本ソリューションは、不良を完全には排除できない現実を前提に、起こり得る不具合も設計情報として取り扱う仕組みを提供する。

- 設計・製造・検査設備構築をデジタルで連携
設計段階で定義した外観品質、欠陥形状、検査条件に加え、生産数量や製造ラインの条件などをデジタル情報として共有する。製品設計企業、製造企業、検査設備開発企業が共通情報に基づいて検討し、量産開始前から検査体制を構築できる環境を目指す。

- 製品の要求から、発生し得る欠陥を再現
製品のCADデータや設計上の要求をもとに、傷や打痕など発生する可能性のある欠陥形状をデジタル空間上に生成し、現物を製造する前に良否基準を具体化する。

- 外観検査時の見え方をシミュレーション
PFUがスキャナーなどの製品開発で培ってきた光学技術を活用し、照明の波長や偏光、対象物の反射特性などを考慮して欠陥がカメラにどう映るかをシミュレーションする。
- 照明・カメラなどの検査条件を探索
照明、カメラ、レンズ、撮像位置などの組み合わせから、対象製品や欠陥の検出に適した構成を探索し、検査精度、設備コスト、納期などの条件に応じた構成案を提示する。

石川県工業試験場との連携による技術検証
2024年度に採択された石川県の成長戦略ファンド(DX製品・サービス開発支援)事業の一環として、石川県工業試験場と連携した検証が実施された。
担当職員が照明やカメラなどの条件を手作業で探索した場合と、本ソリューションによるシミュレーション探索を利用した場合を比較したところ、探索に要する時間は360分から30分へ短縮し、約90%削減された。

また、検証条件下において、職員が候補から除外した照明の組み合わせの中からシミュレーションによって検出性能の高い構成を発見し、欠陥の検出率が71.5%から85.1%へ向上する結果が得られた。これにより、人による試行錯誤だけでは難しい幅広い条件の探索を短時間で実施する有用性が確認された。今後は再現する欠陥の種類や光学部品の情報を拡充し、事業化に向けた検証が進められる。
展示会出展情報・問い合わせ先
本ソリューションは以下の展示会に出展される。
- 名称:ものづくりワールド大阪(https://www.manufacturing-world.jp/osaka/ja-jp.html)
- 会期:2026年10月7日 ~ 9日 10時 ~ 17時
- 会場:インテックス大阪
お問い合わせ先:
- 株式会社PFU事業開発本部 次世代事業開発室E-mail:pfu_nextgen_contact@jp.ricoh.com
(注1)故障の木解析(Fault Tree Analysis:FTA):故障・事故や傷・汚れなどの外観不良といった望ましくない結果を起点に、その発生に至る原因や条件を遡って整理・分析するトップダウン型の手法。 (注2)故障モード影響解析(Failure Mode and Effects Analysis:FMEA):製品の構成要素や製造工程を一つずつ取り上げ、それぞれに期待される働きや要求される条件を満たせなくなる状態とその影響を整理・分析するボトムアップ型の手法。
本記事は株式会社PFUの発表をもとに作成されています。
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