最低賃金引上げで中小企業に影響も

株式会社スガワラくんが実施した「最低賃金と最低賃金引き上げが日本経済に与える影響」についてのアンケート調査によると、従業員の6割が最低賃金引き上げを認知しており、7割弱が最低賃金は近年の物価上昇に見合っていないと回答した。また、最低賃金の引き上げによる日本経済への影響としては、「税金や社会保険料額の増加」「最低賃金格差の拡大」「人手不足」がトップ3となった。

税理士の菅原由一氏は、最低賃金引き上げにより倒産する中小企業が激増する可能性があると指摘する。日本の最低賃金は諸外国と比べて非常に低く、国際競争力をつけるために政府は生産性の高い企業に人材が集まるような流れを作っているという。しかし、中小企業にとっては賃金と社会保険料の増額により経営が厳しくなり、人手不足にも陥る可能性がある。

菅原氏は、中小企業が生き残るためには最低賃金を払える会社になる必要があると述べる。そのためには生産性向上を実現し、従業員に利益を還元することで良い人材を確保するグッドサイクルを作ることが重要だという。また、価格を上げることに抵抗がある中小企業の体質を改善し、値段を上げられるビジネスをしていく必要性を訴えている。

最低賃金引き上げは、中小企業の経営を圧迫する一方で、日本の国際競争力を高めるための政府の戦略でもある。中小企業が生き残るためには、生産性向上と従業員への利益還元による良い人材の確保が鍵となるだろう。