リジェネソームや金沢工業大学ら、発酵甘味料向け麹菌の選抜法に関する特許を出願
スペースシードホールディングス株式会社のグループ企業であるリジェネソーム株式会社は、学校法人金沢工業大学および株式会社オリゼと共同で、発酵甘味料の製造に適した麹菌を効率的に選抜する方法に関する特許を特許庁に出願した。出願日は2026年8月31日となっている。甘酒や甘麹などの製造に適した麹菌株を、全ゲノム配列解析を行わずに客観的かつ簡便に選抜する技術を提供する。
背景と従来の課題
麹菌(アスペルギルス・オリゼ)は日本の伝統的な発酵食品に欠かせない微生物であり、米のデンプンを糖化してつくる甘酒や甘麹、米麹甘味料は自然な甘みをもつ発酵甘味料として注目されている。発酵甘味料の甘さや品質はアルファ-アミラーゼなどの糖化酵素に左右されるが、麹菌のゲノム内には互いに99%を超える高い相同性をもつ複数のアルファ-アミラーゼ遺伝子が存在するため、通常のPCR法での区別が困難だった。遺伝子のコピー数だけでは酵素の生産量が決まらないこともあり、適した株の選抜は現場の経験や大がかりな全ゲノム配列解析に頼らざるを得ない状況があった。
本発明の選抜手順と特長

今回の発明は、麹菌がもつ3つのアルファ-アミラーゼ遺伝子座の周辺領域に着目し、PCR増幅パターン(分子指標)と製麹後の酵素活性(表現型)を組み合わせて選抜を行う。具体的な手順は以下の通りとなる。
- 被検株のゲノムDNAについて、3つのアルファ-アミラーゼ遺伝子座周辺領域のPCR増幅パターンを取得する
- 標準株(RIB40)と異なる増幅パターンを示す株を候補株として絞り込む
- 候補株で製麹した米麹について、アルファ-アミラーゼ活性などの糖化に関連する表現型値を測定する
- 基準株より高い表現型値を示す株を、発酵甘味料製造用の麹菌として選抜する
実施例では、対照株比で約2.2倍(約218%)のアルファ-アミラーゼ活性を示す実用株を選抜し、その株で製麹した米麹を用いた甘酒の製造に成功した。
本手法は、全ゲノム配列解析を行わずにPCRと酵素活性測定で選抜できる簡便性や、2つの客観的な基準による再現性の高さが特長である。アルファ-アミラーゼだけでなくプロテアーゼやリパーゼなど他の菌体外加水分解酵素にも適用可能な拡張性を備えるほか、種麹ロットの同一性確認など製造現場での品質管理にも応用できる。
特許出願の概要
出願の詳細は以下の通りである。
- 発明の名称:発酵甘味料の製造に用いる麹菌の選抜方法、麹菌株の識別方法、試薬セット、判別用キット、米麹の製造方法、及び発酵甘味料の製造方法
- 出願日:2026年8月31日(令和8年8月31日)
- 出願人:学校法人金沢工業大学、株式会社オリゼ、リジェネソーム株式会社(共同出願)
- 発明者:町田 雅之(金沢工業大学)、佐野 元昭(金沢工業大学)、河原 あい(オリゼ)、鈴木 健吾(リジェネソーム)
- 国際特許分類:C12Q 1/6895、C12Q 1/686、C12N 1/14
今後の展開
リジェネソーム株式会社は、本発明を活用してロンジェビティ技術を実現する発酵関連技術の開発を進めるとともに、金沢工業大学および株式会社オリゼとの連携を通じて麹菌ゲノム情報を活用した発酵食品の高付加価値化に取り組むとしている。
本記事はリジェネソーム株式会社の発表をもとに作成されています。
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