神奈川大学の大庭三枝教授の研究が文部科学省SPReAD事業の第2回公募に採択
神奈川大学法学部の大庭三枝教授による研究課題が、文部科学省の「AI for Science 萌芽的挑戦研究創出事業(SPReAD)」第2回公募において採択された。同公募には全国から17,914件の応募があり、採択されたのは656件で、採択率は3.7%だった。神奈川大学からは第1回公募で自然科学系の研究3件、第2回公募で社会科学系の研究1件が選ばれ、2回を通じた採択件数は計4件となった。

生成AIを活用した国際関係の分析手法を開発
今回採択された研究課題は、「生成AIによるインド太平洋の制度化分析手法開発――自律性希求とヘッジングが秩序を動かす論理の可視化」となる。生成AIを活用し、複雑なインド太平洋の国際関係を分析する新たな手法の開発に取り組む。
インド太平洋地域では、安全保障・政治分野においてQuad(日米豪印の協力枠組み)や三国間協力などのミニラテラリズム、二国間での防衛協力の制度化が進むほか、経済分野でもCPTPPやRCEPなどの複数の枠組みが存在している。本研究では、地域組織やミニラテラルの枠組み、二国間協定などに関する一次資料を横断的に分析し、多層的な制度化の全体像を明らかにする。さらに、各国が制度に参加する際の目的や脅威認識に関する言説を分析し、自律性確保のための戦略追求がドライバーではないかという仮説の検証にも取り組む。
一次資料の分析とAIによる抽出精度の検証
研究では、各国の政府文書、共同声明、戦略文書、記者会見録、報道発表など数百件の一次資料を対象とする。制度名、参加国、法的性格、協力分野に加え、各国の目的や脅威認識に関する言明を生成AIで抽出する。抽出した情報を構造化して国や時期を越えた同一基準で比較することで、制度化の全体像を把握し、各国と複数の国際的な枠組みとの関係を可視化した上で国際政治学の知見に基づいて分析を行う。

あわせて、あらかじめ研究者が分析したデータとAIによる抽出結果を比較し、情報の一致率、出力の安定性、ハルシネーションなども検証する。資料収集からAIによる分析、検証、可視化までの工程を整理し、国際政治学の文書分析におけるAI活用型分析手法の有効性と限界を整理する。
文理双方でAIを活用した研究を推進
2028年に創立100周年を迎える神奈川大学(本部:横浜市、学長:戸田 龍介)では、自然科学から人文・社会科学まで多様な研究分野において、専門知とAIを組み合わせた研究が進められている。
神奈川大学の佐藤裕美副学長は、今回の採択について、大庭教授が積み重ねてきた国際政治学の専門知を基盤に生成AIを活用した新たな分析手法に挑戦する研究が評価されたものと受け止めているとし、研究の一層の進展への期待と研究者支援を継続する意向を示した。
採択課題の概要
- 研究代表者:大庭三枝(神奈川大学法学部 教授)
- 研究課題名:「生成AIによるインド太平洋の制度化分析手法開発――自律性希求とヘッジングが秩序を動かす論理の可視化」
- 採択事業:文部科学省「AI for Science 萌芽的挑戦研究創出事業(SPReAD)」第2回公募
本記事は神奈川大学の発表をもとに作成。
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