Dellows News

エナリスと芝浦工業大学、EdgeAIによる電力自律分散制御の共同研究を開始

株式会社エナリスと芝浦工業大学は、2026年6月より「MEC-RM拡張技術であるEdgeRMを用いたEdgeAI自律分散制御手法に関する研究」を開始した。過去2年間の共同研究成果を基盤に、家庭用蓄電池やEV(電気自動車)などのIoT機器が持つわずかな計算能力に着目し、低圧リソースのアグリゲーションにEdgeAI自律分散制御手法を実装する取り組みとなる。効率的かつ安価で信頼性の高い次世代電力制御ネットワークの構築を目指している。

共同研究の背景とこれまでの経緯

再生可能エネルギーの普及や電力需給の安定化に向け、多数の家庭用蓄電池や家電を通信ネットワークで接続し、一括して遠隔制御するVPP技術の重要性が高まっている。従来の単一管理サーバ(単一EdgeRM)に処理を依存する方式では、制御機器数の増加に伴うサーバ増設などの設備投資コストや、過大負荷・集中障害によるシステム停止リスクが課題となっていた。

両者はこれらの課題解決に向けて段階的な共同研究を進めており、3年目となる2026年度はこれまでの知見とAI技術を融合させた自律分散制御の高度化に取り組む。

  • 初年度(2024年度):管理サーバ(MECサーバ)側の制御プログラムを改良し、従来と同じ設備環境のまま、従来の約20倍となる2万台以上の機器を一括管理できる見通しを得た。
  • 2年目(2025年度):自律分散制御手法を検討し、複数のIoT機器へ小さな処理タスクを自動で切り分けて並列処理させるロジックを考案・検証した。
  • 3年目(2026年度):管理システムを特定通信規格に縛られない汎用型「EdgeRM」へ進化させ、機器側とサーバ側に配置した「EdgeAI(エッジAI)」が最適な処理先をリアルタイムに自律判断・分配するシステムの完成を目指す。

期待される成果と社会への影響

本研究では、特定のサーバや通信ノードに負荷集中や障害が生じた場合でも、周辺のMECサーバやIoT機器へ瞬時に処理を自動引き継ぎ・カバーする仕組みを構築する。AI(EdgeAI)が状況に応じて最適なサーバや端末へ計算処理をリアルタイムに実施し、機器側の余剰処理能力を活用することで大型サーバの追加導入を抑え、インフラ運用コストを削減する。

これにより、将来的にEVや家庭用蓄電池、スマート家電が急速に普及した場合でも、安定して制御を継続できる柔軟な電力社会インフラの土台を築くとしている。

2026年度共同研究の概要

2026年度の研究内容は以下の通りである。

  • 研究件名:MEC-RM拡張技術であるEdgeRMを用いたEdgeAI自律分散制御手法に関する研究
  • 研究期間:2026年6月 ~ 2027年3月
  • 目的:OS・ハードウェア由来の制約緩和、並びにEdgeAI(強化学習等)を用いた自律分散制御による可用性向上の実証・評価
  • 芝浦工業大学(菅谷みどり教授)の役割:可用性および計算機スケーラビリティの向上に寄与する計算資源利用の高度化手法(EdgeRM/EdgeAI)の開発および検証・評価
  • 株式会社エナリスの役割:実証環境および制御ロジックの提供、提案手法の最適化および共同開発推進

今後の展望

両者は共同研究を通じて低圧リソースを効率的・安価かつ安定的に制御する技術を確立し、再生可能エネルギーの出力変動へ対応可能な株式会社エナリスの分散型エネルギーリソース管理システム(VPP/DERMS)等への実用化を図る。これにより、地域ごとの電力混雑解消や、脱炭素社会の推進と安定的な電力供給の両立に貢献していく方針を示している。

本記事は株式会社エナリスおよび芝浦工業大学の発表をもとに作成。

アクセスランキング

今日

1週間