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Tensor Energy、一次調整力市場での蓄電池ネガポジ運用の経済効果調査を公開

Tensor Energy株式会社は、日本の一次調整力(FCR)市場における蓄電池のネガポジ運用の経済効果を実市場データで検証した調査レポート「日本の一次調整力(FCR)市場における蓄電池のネガポジ運用」を公開しました。2025年4月から2026年8月までの17か月間、東京・中部・中国・九州の4エリアを対象に30分解像度のシミュレーションを実施したところ、ネガポジ運用の一次オフライン収益が対象の全エリア・全月でポジのみ運用を上回る結果となりました。収益の増加率はアセット構成によって異なり、単独蓄電池で+31%、高圧太陽光併設蓄電池で+60%、低圧太陽光併設蓄電池で+45%となっています。

調査の背景とネガポジ運用の特徴

需給調整市場の一次調整力オフライン商品では、蓄電池が30分単位で提供可能な調整力(ΔkW)を入札し、実際の周波数変動の有無にかかわらず容量に応じた対価を受け取ります。市場の上限価格は2025年度の19.51円/kWから2026年4月に15円/kW、2026年9月以降は10円/kWへと段階的に引き下げられており、蓄電池事業者にとって運用方法の違いによる収益への影響を定量的に把握する必要性が高まっています。

放電のみで入札するポジのみ運用では入札量が定格放電出力に限られ、充電中は市場から退出します。一方、ネガポジ運用では計画していた充電量の削減分も調整力として提供できるため、充電中も市場にとどまることができ、満充電時には理論上、定格出力の2倍まで入札量を拡大可能です。公開されたレポートでは、これらの効果が実際の市場価格のもとで生み出す収益差を検証しています。

調査結果の詳細

シミュレーションの結果、17か月間、4エリア、3種類のアセット構成の全組み合わせにおいて、ネガポジ運用のFCR収益がポジのみ運用を下回る月はありませんでした。4エリアの全期間集計における収益比率は、東京1.31倍、中部1.30倍、中国1.32倍、九州1.33倍です。

アセット構成別の全期間FCR収益増加率は、単独蓄電池(2,000kW/8,000kWh)で+31%、高圧太陽光併設蓄電池(2,000kW/4,300kWh+太陽光2,380kW DC)で+60%、低圧太陽光併設蓄電池(49.75kW/216kWh+太陽光25kW DC)で+45%を記録しました。太陽光併設型で効果が大きい要因として、日中の太陽光余剰を充電に充てる時間帯がFCR入札の対象となる点が挙げられます。

また、2026年4月から8月とその前年の同じ5か月間を比較したところ、4エリア集計の収益比率は1.29倍から1.52倍に上昇しました。容量価格が低下するほど充電中の市場離脱による機会損失が相対的に大きくなるためであり、2026年9月以降の10円/kW上限のもとでも同様の傾向が続くと考えられるものの、レポート内では予測としての断定はしていません。

単独蓄電池におけるFCR落札コマの参加率は、ポジのみ運用の68%から80%に対し、ネガポジ運用では82%以上となり、入札時におけるの平均入札量は13%から22%増加しました。なお、充電1kWhあたりの追加収益を示す「ネガポジマージン」は2025年度で22円から31円/kWh、2026年度で7円から16円/kWhとなっており、優位性の拡大はマージン自体の大きさではなく市場にとどまり続ける価値の相対的な上昇によるものと説明されています。

今回の検証について、Energy & Data Science担当のAndres Salazar氏は「ネガポジ運用が有利であることは業界内で経験的に語られてきましたが、どの程度有利なのか、どの条件で差が広がるのかは十分に定量化されていませんでした。今回は前提条件を明示したうえで実市場データで検証し、結果と限界をそのまま公開しています。事業者の皆さまが自社の条件に照らして判断する材料になれば幸いです。」とコメントしています。

調査手法と前提条件

本調査では、オフラインで公開されているFCR約定価格(エリア×30分)、JEPX前日スポットのエリア価格、太陽光出力制御率、ECMWF ERA5の気象データを用い、2025年4月から2026年8月にわたる30分解像度の連続シミュレーションを実施しました。

すべての入札は平均約定価格で落札される前提とし、サイクル劣化コストは10円/kWh、FCR提供に伴う消費電力量は0.0525kWh/契約MW/コマと設定されています。両モードとも系統からの充電を許可し、ディスパッチは簡易なルールベースで最適化は行われていないため、実運用における収益は示された水準と異なる可能性があります。

Tensor Energy株式会社の概要

Tensor Energy株式会社は、再生可能エネルギーと蓄電池のアグリゲーション・アセットマネジメントを支える電力AIプラットフォーム「Tensor Cloud」を起点とした事業を展開するエネルギーテック企業です。

  • 会社名:Tensor Energy株式会社
  • 所在地:〒810-0001 福岡県福岡市中央区天神1-11-1
  • 設立日:2021年11月
  • 代表者:代表取締役 堀 菜々 & フィルター ヴィンセント
  • 事業内容:発電システム、蓄電システム、及びその他の分散型エネルギーシステムの資産運用、制御、並びに電力取引に関するソフトウェアの開発、販売、サービス提供
  • 主要株主:デライト・ベンチャーズ、 FFGベンチャーパートナーズ、 ジェネシア・ベンチャーズ、グローバル・ブレイン、グロービス・キャピタル・パートナーズ、みずほキャピタル、 Plug and Play Japan
  • レポート全文URL:https://www.tensorenergy.jp/research/nega-posi-fcr-batteries

本記事はTensor Energy株式会社の発表をもとに作成されています。

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