鞄工房山本と橿原考古学研究所、約1300年前の漆塗り革袋を各地の職人技で復元
ランドセルなどを手がける株式会社鞄工房山本は、奈良県立橿原考古学研究所とともに、奈良県葛城市の三ツ塚古墳群から出土した約1300年前の漆塗り革袋の復元製作に取り組みました。製作は鹿皮、漆、金具、組紐といった異なる分野の職人や企業が技術を持ち寄り、約1年にわたる試作と試行錯誤を経て完成しました。2026年8月7日には復元品の記者発表が行われています。

7世紀末の出土品である鞶囊を現代の手で再現
今回復元された漆塗り革袋は、1999年から2001年に実施された奈良県葛城市の三ツ塚古墳群の発掘調査において、7世紀末と推定される木櫃改葬墓13から出土したものです。蓋が付いた革製の袋で、唐代の史料に記された鞶囊(はんのう)に該当すると考えられています。

復元品は高さ約16cm、幅約19cm、厚さ約8.5cmで、漆黒の革に金具と本紫の組紐があしらわれています。製作を担った鞄工房山本の二代目・山本一彦は、考古学研究所から提供された図面や出土品の構造を手がかりに、木型の製作から鹿皮の立体成型、本体の組み立てまでを手がけました。
MONTBOOKで培った立体成型技術を活用



鹿皮を立体的に成型する工程では、木型に皮を沿わせながら成型する「吊り込み」の技術が用いられました。この工程には、鞄工房山本が2023年に立ち上げたブランド「MONTBOOK」のものづくりを通して培ってきた技術が生かされています。


山本がこの革袋の存在を知った約7年前の時点では吊り込みによる成型の実績がありませんでしたが、その後の新しい鞄づくりへの挑戦で培った技術が復元製作につながりました。
各地の職人技術を結集し試行錯誤を重ねて完成

復元製作には、鞄工房山本のほか各地の専門技術を持つ企業や職人が携わりました。
- 奈良県立橿原考古学研究所:調査・分析・設計など
- 株式会社藤岡勇吉本店(奈良県宇陀市):鹿皮
- 漆 夢工房 清里(石川県輪島市):漆塗り
- 東京メタル株式会社:金具
- 有職組紐 道明(東京・上野):組紐
- 株式会社鞄工房山本:革袋製作

成型した鹿皮に漆を施すと革が大きく変形するなど前例の少ない作業に伴う難しさもありましたが、職人同士が方法を模索しながら形にしました。山本は、現代日本のさまざまな分野の職人技術の粋を集めて復元できたことはものづくりに携わる者としての誇りである旨を述べています。
奈良の工房見学とものづくりの発信
鞄工房山本では、ランドセルを製造している奈良の工房を一般向けに公開しています。完成品だけでなく職人の手仕事や制作過程に触れてもらう機会として提供されており、工房見学は参加無料・予約不要で、奈良本店から徒歩約2分の場所に位置しています。
株式会社鞄工房山本の概要

- 会社名:株式会社鞄工房山本
- 所在地:奈良県橿原市南浦町899
- 創業:1949年
- 事業内容:ランドセルおよび革製品の企画・製造・販売
本記事は株式会社鞄工房山本の発表をもとに作成されています。
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