上司と部下の約3人に1人が信頼低下を経験 パーソル総合研究所と九大が調査発表
株式会社パーソル総合研究所と九州大学大学院の池田浩研究室は、「信頼の揺らぎと修復のメカニズムに関する研究」を実施し、結果を発表した。調査によると、上司と部下の双方向で約3人に1人が直近3カ月以内に相手への信頼が揺らぐ出来事を経験していることが明らかになった。職場の信頼関係は一度築けば維持されるものではなく、日々の出来事によって揺らぎや修復を繰り返す動的な関係であることが示されている。


約3人に1人が直近3カ月で信頼低下を経験、判断基準に違い
過去3カ月以内に相手への信頼が揺らぐ出来事を経験した割合は、リーダーが33.3%、メンバーが34.7%となった。信頼低下の理由は立場によって異なり、リーダー側では「報連相がない/遅い」や「約束・期限・ルールを守らない」など、任せた業務を適切に遂行したかどうかが上位を占めた。
一方でメンバー側では「嘘・ごまかし/言っていることが変わる」「指示があいまい/一貫しない」などが多く、リーダーの意図や誠実さといった関わり方によって信頼を失う傾向がみられた。また、信頼の低下度が最も大きかった出来事は、リーダー側が「重大なコンプライアンス問題」、メンバー側が「ハラスメント(近い言動を含む)」であった。

信頼低下に伴う反応と職場への影響



信頼が揺らいだ際の反応として、リーダーは監視行動を強める傾向がある一方で、関係修復に向けた対話や再交渉を試みる動きも確認された。これに対し、メンバーは距離化や沈黙といった回避的な反応を示す傾向があり、リーダーが気づかないまま関係が悪化する可能性が示されている。




信頼低下による影響については、リーダー側では育成意欲の低下や自身の負担増加が生じる傾向がみられた。メンバー側ではモチベーションの低下や心理的距離の拡大、離職・回避意向が高まる傾向が確認されている。
信頼修復のプロセスと実施率のギャップ
信頼が低下した後の相手の修復行動について、リーダーから見たメンバーの修復行動実施率は約5割であったのに対し、メンバーから見たリーダーの修復行動実施率は約3割にとどまった。
信頼修復のメカニズムを分析した結果、修復は一度の謝罪で完結するのではなく、「理解」「納得」「安心」「再期待」という段階を経て進行する可能性が示唆された。初期段階では原因や経緯の説明による「理解」が有効であり、その後の謝罪や行動変容による「納得」、感情への配慮や一貫した対応を通じた「安心」「再期待」へと進むプロセスが示されている。
関連組織の概要
- 株式会社パーソル総合研究所:パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームとして、調査・研究、組織人事コンサルティング、人材開発・教育支援などを展開
- 九州大学 池田浩研究室:リーダーシップ、ワークモチベーション、組織文化などを主要テーマとし、産業・組織心理学の視点から研究を展開
本記事は株式会社パーソル総合研究所の発表をもとに作成。
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