名古屋大と岡山大、全タンパク質構造への薬の結合親和性から薬効と副作用を予測する新手法を開発

名古屋大学と岡山大学の共同研究グループは、ヒトの全てのタンパク質の立体構造を、ドッキングシミュレーションと機械学習で解析し、薬の効能や毒性・副作用を予測する新しい計算手法を開発した。

この手法では、まず約8千種類の既存薬と約2万種類のヒトタンパク質の結合親和性をシミュレーションで網羅的に計算する。これにより、様々な疾患に対する既存薬の新規効能を予測できることが示された。

さらに、数百種類の毒性に対する薬の副作用を機械学習モデルで予測し、副作用の発現に関与するタンパク質の抽出にも成功した。

従来の手法では考慮できなかったタンパク質群の影響を、この新手法では考慮できるようになった。それにより、薬のメカニズムの理解が進み、医薬品開発の期間短縮や費用削減に貢献することが期待される。

本研究は、JSPS科学研究費補助金・基盤研究Aの支援を受けて行われ、その成果は2024年6月21日付の学術雑誌「iScience」に公開された。

薬とタンパク質の相互作用を大規模にシミュレーションし、機械学習で解析する本手法は、創薬プロセスの効率化に大きく寄与すると考えられる。今後のさらなる発展が注目される。