Leading.AI、GitHubで情報漏えい台帳と経営向けセキュリティ提言書を公開
神奈川県横浜市に拠点を置くLeading.AI LLCは、セキュリティを経営課題として扱うためのオープンソース書籍2冊をGitHub上で公開した。公開されたのは、漏えい台帳『The Japan Breach Registry 2026』と、提言書『パッチの向こう側 ── AI時代のエンタープライズ・セキュリティを、世界の提言から読む』である。いずれも日英併記で、CC BY 4.0のもとで引用や転載が可能となっている。
背景と公開の経緯
2026年秋、日本国内では大規模な個人情報漏えい事案の公表が相次いだ。東京商工リサーチの集計によると、上場企業とその子会社において、1,000万件以上の漏えい事故が2026年10月23日までに佐川急便を含め8件(速報値)確認されたという。また、10月15日にはJPCERT/CCが、連続不正アクセス事案の攻撃手法に関する調査において攻撃者によるAI利用を確認したと発表している。

こうした状況に加え、2025年から2026年にかけて国内外の公的機関や各種団体などからセキュリティに関する提言が相次いで出された。Leading.AI LLCは、相次ぐ事故の公表文と世界の提言の双方が重なったことを背景に、一次資料に基づいた2冊の書籍を執筆・公開したとしている。
漏えい台帳『The Japan Breach Registry 2026』
『The Japan Breach Registry 2026』(2026年11月3日更新)は、2026年9月1日以降に国内の企業や組織が公表した個人情報漏えい事案を、当事組織の一次公表文に即してまとめた台帳である。日本企業の経営者や取締役会、一次資料で事実を確認したい読者を対象としている。

台帳の300行の分析からは、以下の状況が示されている。
- 公表文の単位で100万件を超える事案は38行、1,000万件を超える事案は6行
- 侵入経路を記載した公表文は226通、未記載は74通。記載された226通のうち179通は「委託先」とされ、委託先自体の侵入経路に言及した公表文は多くない
- 被害組織の公表文で攻撃者のAI利用に言及したのは、ちとせグループによる1通のみ(同社は自動化された攻撃と推定)
- ブラストメール、Studio、コミューン、ユミルリンク、Amadeusなど、同一の委託先から複数組織へ影響が広がった事案は20系統を超える
経営向け提言書『パッチの向こう側』
提言書『パッチの向こう側 ── AI時代のエンタープライズ・セキュリティを、世界の提言から読む』(2026年10月30日公開)は、日本企業の経営者や取締役会に向けて執筆された。世界の提言211件を分析した結果、侵入を防ぐ技術対策に比べ、攻撃を受けた後の備えに関する方針が手薄であると指摘している。
提言書では、世界の提言に見られる空白として「実環境における対策の効果測定が0件」「データを減らすよう求めた提言が13件と最少」「ログ保持日数を指定した提言がCERT-In(インド、180日)の1件のみ」という点を挙げている。これらを踏まえ、企業が平時に定めておくべき方針として以下の3点を提示している。
- 方針1 持たない:保有するデータを減らすことで、流出時の影響件数の上限を抑える
- 方針2 気づく:ログの保持期間と点検周期を経営者が日数で決める
- 方針3 伝える:事故発生の初報において、知らせる対象を上限とするか絞り込むかを事前に決定しておく
更新を前提としたオープンソース書籍の設計
同社は、攻撃の速度や公表文の増加に対応するため、両書籍を更新し続ける形式で設計したとしている。漏えい台帳は10月10日の第1版から11月3日の第4版(300行)まで短期間で改訂が重ねられた。
データはCSVおよびJSON形式で公開され、修正履歴を追跡できるよう追記専用の運用が採られている。また、更新手順書もあわせて公開されており、読者が内容を検証できる環境を整えているという。
会社概要
- 会社名:Leading.AI LLC
- 代表者:山内怜史(Founder/CEO)
- 所在地:神奈川県横浜市
- 設立:2026年2月
- 公式HP:https://www.leading-ai.io/
本記事はLeading.AI LLCの発表をもとに作成されています。
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