サントリーグローバルイノベーションセンター、青みを帯びたバラの分子育種に成功
サントリーグローバルイノベーションセンターは、色素が他の成分と組み合わさることで青みが増す「コピグメント効果」を利用し、青みを帯びたバラの分子育種に成功しました。遺伝子情報を分子レベルで解析・利用する手法により開発されたもので、研究成果は京都で開催された「第32回 国際園芸学会議(IHC2026)」で発表されました。
研究の背景と経緯
サントリーグループは1990年に青いバラの研究プロジェクトを開始し、2004年に青色色素デルフィニジンを高蓄積する青いバラの開発に世界で初めて成功しました。この成果をもとに、2009年からはサントリーフラワーズが「サントリーブルーローズ アプローズ」として販売を行っています。同社グループでは上市後も、より青みの強い花色を実現するための研究を継続してきました。
本研究は、サントリーグローバルイノベーションセンターの伊藤星太郎氏、勝元幸久氏、興津奈央子氏、田中良和氏、中村典子氏に加え、公益財団法人サントリー生命科学財団の菅原孝太郎氏、Flores Luna Nueva S.A.S.のLiana Cecilia Tovar Duarte氏、Carlos Eduardo Romero Vásquez氏によって実施されました。
研究グループは、デルフィニジン型アントシアニン(Del-An)とフラボンC-配糖体(FCGs)を組み合わせることで、コピグメント効果による青みの向上を目指しました。
まず花色を再現する試験を行って有効な成分の組み合わせを選定し、次に両成分の生合成に必要な4つの遺伝子をバラへ導入して、新規色素の蓄積と花色変化を解析しました。さらに、自然環境下で青みのある花色が安定して発現するかどうかの評価を行いました。
研究の成果と自然環境下での安定性
花色再現試験の結果、Del-Anの一種であるマルビンと、イソビテキシンやイソオリエンチンなどのFCGsを組み合わせることで強いコピグメント効果が得られることを確認しました。
これらの成分をバラの花弁で作り出すため、色素の生合成に必要な4つの遺伝子をバラへ導入したところ、マルビンおよびイソオリエンチンが新たに蓄積し、「violet-blue」の花色が発現しました。また、FCGsが多くなるほど顕著な青色化が認められました。
さらに、得られた系統をバラの主要生産地であるコロンビアで3年間栽培した結果、自然環境下でも青みのある花色が安定して発現することが確認されました。
今後の展望
バラが本来持たない青みのある花色を実現するには、植物が持つ色の仕組みを理解し再構築することが求められます。研究グループは、本研究を発展させることでより青みの強い花色の発現や安定化につながることを期待しているほか、得られた知見を他の植物へ応用することで植物科学の発展に貢献するとしています。
本記事はサントリーグローバルイノベーションセンターの発表をもとに作成
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