FastLabel、ロボットAIの混合学習でタスク成功率が平均14.2%向上と実証
FastLabel株式会社は、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(AWSジャパン)が実施する「フィジカル AI 開発支援プログラム by AWS ジャパン」における研究開発の成果を公開した。ロボット実機データにシミュレーションデータを加えて混合学習を行うことで、モデルのタスク成功率が平均14.2%向上することを実証した。これにより、データ収集コストが高いロボット実機データへの依存を低減できる可能性を示している。
研究開発の背景と課題
ロボットをはじめとするフィジカルAIの分野では、学習データ量に伴いモデル性能が向上する「スケーリング則」の成立が報告されており、学習データ量の確保が重要視されている。一方で、実機を用いたリアルデータの収集は、運用環境の確保や時間、費用などの負担が大きく、スケールさせることが容易ではないという課題がある。
その解決策として、仮想空間で低コストかつ大規模にデータを生成できるシミュレーションデータへの期待が高まっている。しかし、実機との乖離(Sim-to-Realギャップ)や、リアルデータとシミュレーションデータの最適な学習比率(データレシピ)が業界全体で確立されていない点が共通の論点となっていた。

FastLabelは約半年間の研究開発を通じ、国産ロボット「ugo Pro R&Dモデル」を使用して混合学習の有効性を検証した。NVIDIA Isaac Sim上にシミュレーション環境を構築し、AWSのインスタンス上で学習を行うデータパイプラインを確立した。パイプラインは以下の4つのステップで構成されている。
- 軌道データの作成:Isaac Sim上で実機と同等の環境を構築し、テレオペレーションにより拡張元となる軌道データを作成
- 軌道拡張:ランダムに配置された物体にMimicGenを適用し、拡張元の90エピソードから不正動作や失敗を除く10,000エピソードへ約100倍に拡張
- ドメインランダム化:照明や背景、机などの色合いのバリエーションを高めたデータセットを構築
- 混合データセットの構築:実機のリアルデータと生成したシミュレーションデータを組み合わせたデータセットを構築
検証の結果、シミュレーションデータとリアルデータを19対1の比率で混合して学習させたところ、モデルのタスク成功率が平均14.2%向上した。リアルデータの収集環境における精度比較では、リアルデータのみの場合の成功率26.7%に対し、混合データでは56.7%に達した。
また、データ収集時とは異なる未知の環境においても、混合データで学習したモデルがリアルデータのみのモデルを上回り、汎化性の向上が確認された。データ構築費用と成功率の分析においても、混合データを用いたモデルは低コストかつ高性能となり、コストパフォーマンスの面でも優れた結果が得られたとしている。
今後の展望と会社概要
FastLabelは今後、フィジカルAI開発に取り組む企業向けに、シミュレーションデータパイプラインの構築支援や技術知見の提供を進める方針だ。さらに、AWSジャパンの知見やクラウド技術を活用し、データ作成・管理基盤の高度化を推進していくとしている。
FastLabel株式会社の概要は以下の通り。
- 所在地:東京都新宿区西新宿2-6-1 新宿住友ビル24階
- 代表者:代表取締役社長 鈴木 健史
- 事業内容:Data-centric AI開発を支援するAIデータソリューションの提供
- URL:https://fastlabel.ai/service/robotics
本記事はFastLabel株式会社の発表をもとに作成。
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