リクエスト、AI時代の仕事完了と判断経験形成に関する実践研究を公表
組織行動科学の研究・教育開発を行うリクエスト株式会社は2026年8月31日、AI活用や人材育成、組織学習の関係を横断的に再整理した全18ページの実践研究を公表しました。
これまでに公表した980社・33.8万人の業務経験データ分析、2026年8月に10社で実施した企業内リーダー研修での探索的観察、過去の研究・実務成果26本を新たに統合したものです。「仕事が完了すること」と「人と組織に判断経験が形成されること」が分離し得る構造仮説と実務上の知見をまとめています。
仕事の完了と判断経験形成の分離


生成AIによって文章作成や分析、施策案の生成などの作業は短時間で進めやすくなりました。しかし、仕事が完了したことと、担った本人に判断経験が形成されたことは同一ではないと同社は指摘します。事実の確認や選択肢の比較、選択理由の検討などを経ていなければ、成果物は残っても次の類似場面で使える経験が残らない可能性があるとしています。


この状態を同研究では「仕事完了と判断経験形成の分離」と定義しています。AIを最終回答として使うのか、事実確認や仮説形成を支える判断材料として使うのかといった仕事の設計によって、人と組織に残る経験が変わると説明しています。

統合分析から整理された課題と傾向


基礎資料となった既公表分析では、分析対象企業の82%で仕事の中の判断経験が減少し、58%で上司への確認頻度が増加、64%で前例への依存度が上昇する傾向が確認されています。ただし、これらは対象企業における記述的傾向であり、日本企業全体への推計やAI利用が直接の原因であることを示すものではないとしています。


研究結果では、成果差の起点がAI操作前の問題設定や価値発見へ移ることや、もっともらしい答えによって事実確認や原因探索が止まる「問いの早期閉鎖」、判断経験が残らないことで管理職や熟練者へ判断が戻る循環などを挙げています。

判断デザインの提案と二つの成果評価
同研究では、AI活用の成果を作業時間や品質などの業務効率だけで捉えず、「次の類似場面で自ら判断できるようになったか」という判断経験形成の成果と分けて評価することを提案しています。
また、AIによって省略してよい作業と人と組織に残すべき判断過程を分け、事実確認や比較、選択理由の更新などが組織に残るよう仕事条件を設計する「判断デザイン」の実務モデルを提示しました。
研究の意義と留意事項
本研究は、既存のデータ分析や探索的観察などを統合した構造仮説であり、因果関係を証明したものではありません。同社は、AI利用で必ず判断力が低下することや、提案した実務モデルの効果が実証済みであることを主張するものではないとし、今後は導入前後の比較や手戻りの変化などを継続して検証する必要があるとしています。
- 会社名:リクエスト株式会社
- 所在地:東京都新宿区新宿3丁目4番8号 京王フレンテ新宿3丁目4F
- 代表者:代表取締役 甲畑 智康
- 公式サイト:https://requestgroup.jp/
本記事はリクエスト株式会社の発表をもとに作成。
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