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富士フイルム、シミ部位で基底膜が変形することを発見 新リポソームも開発

東京都港区に本社を置く富士フイルム株式会社(代表取締役社長・CEO:後藤 禎一)は、皮膚内部構造を観察できる「LC-OCT」と独自のAI画像解析技術を組み合わせた研究により、シミ部位では表皮と真皮の境界にある基底膜が大きく変形していることを見出しました。変形が大きいほどメラニン量が増加し、皮膚組織の維持に重要なタンパク質「プレクチン」が減少していることを明らかにしています。さらに、プレクチンの発現を促進するビワ葉エキスを含有した独自の単層リポソームを開発しました。

ヒトの皮膚は表皮、真皮、皮下組織から構成され、表皮と真皮の境界にある基底膜が皮膚組織の構造を支えています。従来のシミ研究はメラニンの生成抑制や排出・分解の促進が中心で、皮膚内部構造との関係は十分に解明されていませんでした。

富士フイルムは、非侵襲的に皮膚内部を観察できるLC-OCTとダーモスコープを用いて皮膚表面を拡大撮影し、独自のAI画像解析技術で基底膜を抽出しました(解析対象者数:22名、解析箇所数:57箇所)。基底膜の高さをヒートマップ化して比較解析した結果、シミ部位では非シミ部位に比べて基底膜が真皮側へ深く入り込む特徴的な陥入構造が存在することを確認しました。

基底膜の陥入構造とメラニン蓄積の関係を定量的に評価するため、同社は陥入部を自動検出する新たなAI画像解析技術を開発しました。メラニン染色した皮膚切片の解析(解析対象者数:63名、解析箇所数:97箇所)を行ったところ、基底膜の陥入が深いほどメラニン量が増加する正の相関が認められました(r=0.42)。

さらに、皮膚組織の構造維持に関わる5種類のタンパク質の発現量を比較したところ(解析対象者数:8名、解析箇所数:40箇所)、プレクチンが基底膜の陥入と最も強い相関を示し、陥入が深い部位ほどプレクチン量が減少する負の相関(r=-0.71)が確認されました。

プレクチン量を減らした表皮細胞を用いた実験では、メラニン産生に関わるPTGS2(プロスタグランジンエンドペルオキシダーゼ2)が約80%増加し、メラニン排出に関わるSTX3(シンタキシン3)が約40%減少しました。これにより、プレクチン量が減少した表皮細胞ではメラニンが蓄積しやすくなる可能性が示されました。

プレクチンの発現を高める素材として約70種の候補を比較分析した結果、ビワ葉エキスにプレクチン発現量を未添加時と比べて約30%増加させる効果があることを見出しました。

ビワ葉エキスに含まれる水溶性成分を奥深くの基底膜陥入部へ届けるため、同社は「表皮用リポソーム」をベースに、外層へ浸透促進剤のオレイン酸を配合した「基底膜浸透型リポソーム」を開発しました。siRNA試薬でプレクチンの発現を抑制したヒト表皮細胞に本リポソームを添加した検証では、通常の細胞と比較して蛍光色素の取り込み量が約3倍に増加することを確認しています。

学術大会での発表と今後の展開

富士フイルムは、本研究成果の一部を2026年11月開催の第4回日本化粧品技術者会学術大会および2027年3月開催の日本薬学会第147年会にて発表する予定です。

今後は、基底膜の陥入の深さやプレクチン量、メラニン量の経時変化を検証するとともに、メラニンの産生・排出・分解に与える影響を詳細に解析し、新たなスキンケア研究に活用していくとしています。

本記事は富士フイルム株式会社の発表をもとに作成しています。

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