東京大学など4者、多拠点生活がWell-beingに与える影響の産学共同研究を開始へ
東京大学大学院農学生命科学研究科、日鉄興和不動産株式会社が運営する総合研究所「Future Style総研」、株式会社SANU、株式会社JDSCの4者は、都市と自然を行き来する多拠点生活がWell-beingに与える影響を検証する産学共同研究(第2フェーズ)を開始します。日鉄興和不動産、SANU、JDSCの3社が2025年から行ってきた探索的な調査を発展させ、新たに東京大学が参画して検証を進めます。
二地域居住への関心と共同研究の背景
都市生活において心身を十分に休めることが難しくなる中、リモートワークの広がりなどを背景に都市と自然を行き来する暮らし方が注目されています。国土交通省の「二地域居住等の推進に向けた調査」によると、都市住民の27.9%が二地域居住に関心を示し、20歳代では44.8%が地方移住に関心を示すなど潜在的な需要が存在しています。また、2024年11月施行の改正広域的地域活性化法(二地域居住促進法)など政策面での後押しも行われています。

一方で、多拠点生活が心身に及ぼす影響には未解明な点が多く、もともと心身の状態が良い人が多拠点生活を選択している可能性との切り分けが課題となっていました。本共同研究では、多拠点生活を広義の「二地域居住」のひとつの実践形態と捉え、都市生活を補完する新たな「生活インフラ」「セルフケアインフラ」になり得るかを学術的に検討します。
探索的な調査から見出された3つの兆し

日鉄興和不動産、SANU、JDSCの3社は、これまでに事前調査や第1フェーズとしての調査を実施してきました。2025年12月の事前調査では、「SANU 2nd Home」会員196名は非会員218名に比べ、ウェルビーイングに関わる時間への期待が高い傾向がみられました。

2026年2月~7月に実施された第1フェーズでは、多拠点生活サービス「SANU 2nd Home」の利用者25名を対象にアンケート調査を行い、うち19名にはウェアラブル機器による夜間の心拍変動計測を、7名にはデプスインタビューを実施しました。その結果、小規模な探索的調査に基づく仮説として、滞在中に心身の自己評価が大きく高まる傾向や、利用を重ねることで拠点が「戻ってくる場所」「第二の家」に変わること、さらに滞在経験が自然との距離感や帰宅後の暮らし・家族との関わりにも及ぶといった兆しが確認されました。
第2フェーズの計画と検証される仮説
新たに東京大学が参画する第2フェーズでは、研究規模と対象を拡大します。「SANU 2nd Home」以外のサービス利用者や自前で拠点を持つ層を含む一般的な多拠点生活者、および単拠点生活者まで含めた計800名規模を想定して比較研究を行います。同一対象者を初回・6ヶ月後・1年後と長期的に追いかける継続追跡調査を開始する予定です。なお、これらの研究設計や規模、手法等は現時点の計画であり、今後の進捗や倫理審査、調査設計の精緻化等に伴い一部変更となる可能性があります。
研究では「多拠点生活を選ぶ人の特性によるものか、経験によるものか」「自然環境の影響か、行き来する暮らし方の影響か」「変化は一時的なものか、続いていくものか」という3つの仮説を検証します。住まいを複数の場所の組み合わせとして捉える視点から実践者自身にとっての効能を明らかにし、知見は研究者や自治体、企業へ広く公開していく方針です。
東京大学大学院 農学生命科学研究科の曽我 昌史 准教授は「比較群を伴う縦断調査と横断調査を組み合わせた本取り組みは、人と自然の関わり方を科学的に理解するうえで非常に価値の高い研究になると期待しています」と述べています。
共同研究に参画する各組織の概要

- 東京大学大学院農学生命科学研究科:東京都文京区に所在し、研究科長は東原 和成が務める。
- 日鉄興和不動産株式会社:東京都港区に本社を置き、代表取締役社長は三輪 正浩。「Future Style総研」(https://futurestylesoken.jp/ )を運営し、「+ONE LIFE LAB」や「Post Growth City Lab」などを推進している。
- 株式会社SANU:東京都新宿区に本社を置き、代表取締役は福島 弦。会員制セカンドホームサービス「SANU 2nd Home」(https://2ndhome.sa-nu.com/ )を展開し、2026年10月現在で国内40拠点・250室を運営している。
- 株式会社JDSC:東京都文京区に本社を置き、代表取締役は加藤 エルテス 聡志 / 佐藤 飛鳥。AIやデータサイエンスを活用した事業を展開している(https://jdsc.ai/ )。
本記事は東京大学大学院農学生命科学研究科、日鉄興和不動産株式会社、株式会社SANU、株式会社JDSCの発表をもとに作成。一部データは国土交通省「二地域居住等の推進に向けた調査」を参照。
ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



