Dellows News

GHIT Fund、感染症製品開発9件に合計約10.6億円の投資を決定

公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)は、マラリアや顧みられない熱帯病(NTDs)、エボラウイルス病をはじめとした新興・再興感染症の治療薬、ワクチン、診断薬の製品開発9件に対し、合計約10.6億円の投資(助成)を決定した。今回の投資案件は、公募RFP2025-002およびRFP2026-001の標的研究プログラム、スクリーニング、ヒット・トゥ・リードプログラム、製品開発プログラムの中から選定された。これにより、同基金によるこれまでの累積投資金額は約481億円に達した。

細菌感染性の眼疾患であるトラコーマは、クラミジア・トラコマチスの感染によって引き起こされ、世界で約190万人の失明または視覚障害の原因となっている。現在も約9,200万人が流行地域で暮らしており、失明のリスクにさらされている(世界保健機関参照)。現在は抗生物質の集団投薬に依存した対策が行われており、投薬の開始や中止を決断する指標となる迅速検査キットが求められている。

こうした背景から、GHIT FundはDrugs and Diagnostics for Tropical Diseases(DDTD)、株式会社医学生物学研究所、カーター・センターおよびBig Eye Diagnostics, Inc.が共同で推進するプロジェクトに対し、約4.5億円を投資することを決定した。2024年より支援を行っている案件で、WHO目標製品特性に完全適合する診断検査の確立を目指し、臨床評価、薬事承認および実運用導入を進める。

2026年5月17日(日本時間)に世界保健機関(WHO)がコンゴ民主共和国およびウガンダにおけるブンディブギョウイルスによるエボラウイルス病の発生に対し「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言して以降、同基金は迅速診断技術やPOC(ポイント・オブ・ケア)検査の開発支援を強化している。2026年10月21日時点でコンゴ民主共和国では死者4,500人を超える流行が報告されており(Centers for Disease Control and Prevention参照)、感染拡大防止に向けた迅速な診断手段の確立が進められている。

投資対象となったエボラウイルス病関連の3プロジェクトは以下の通り。

  • 株式会社医学生物学研究所および長崎大学によるブンディブギョウイルス迅速検出のためのRT-LAMP/核酸クロマトグラフィー診断デバイスの開発プロジェクト
  • 埼玉大学によるブンディブギョウイルスを対象としたラテラルフロー免疫測定法の開発プロジェクト
  • 栄研化学株式会社によるブンディブギョウイルス検出用LAMP法検査薬の開発プロジェクト

さらに、西アフリカに広く分布するラッサ熱の次世代ワクチン開発や、ニパウイルスおよびヘンドラウイルス対策の迅速抗原検査開発、マラリア、デング熱、チクングニア熱、シャーガス病などの顧みられない熱帯病に関する5つの研究開発プロジェクトに対し、合計約4億円を投資する。

対象プロジェクトは以下の通り。

  • 大阪大学の3研究機関(先端モダリティ・DDSワクチン開発拠点(CAMaD)、微生物病研究所(RIMD)、医学系研究科(UOsaka Med))とテキサス大学医学部ガルベストン校(UTMB)による、ラッサウイルスに対する二価 mRNA–脂質ナノ粒子ワクチンの開発、製剤最適化および効果の評価に関するプロジェクト
  • PATHとiBody株式会社による、重篤なアウトブレイクの危険性があるニパウイルスとヘンドラウイルスの流行性・致死性疾患に対する高性能免疫グロブリンの戦略的創出プロジェクト
  • エーザイ株式会社、Medicines for Malaria Venture (MMV)による、バイオインフォマティクスと機械学習を用いた抗マラリア活性の向上を目指すアンチセンスオリゴヌクレオチドのデザインならびにスクリーニングプロジェクト
  • 長崎大学、エーザイ株式会社、Drugs for Neglected Diseases initiative (DNDi)、ダンディー大学による、シャーガス病治療薬の開発成功率向上を目指し、革新的アプローチを導入した創薬プロジェクト
  • 株式会社ビズジーン、宮崎大学、マヒドン大学、ペルーのサンマルコス大学、ペルーの生物医学・環境技術研究センターによる、デングウイルス血清型別およびチクングニアウイルスを検出する迅速全血マルチプレックス抗原検査プロジェクト

基金の運用状況と概要

GHIT Fundにおいて2026年9月30日時点で進行しているプロジェクトは53件あり、内訳は標的・探索研究が26件、非臨床試験が14件、臨床試験(薬事申請段階や、途上国の患者サンプルを用いた臨床的妥当性評価を含む)が13件となっている。

  • 組織名: 公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)
  • 参画機関: 日本政府(外務省、厚生労働省)、製薬企業などの民間企業、ゲイツ財団、ウェルカム、国連開発計画
  • 活動内容: マラリア、結核、顧みられない熱帯病(NTDs)などの感染症制圧に向けた新薬・治療薬・ワクチン・診断薬開発への投資
  • 公式サイト: https://www.ghitfund.org/jp

本記事は公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金の発表をもとに作成。

アクセスランキング

今日

1週間