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菱機工業と山洋電気、信州大学が共同研究で工場の排熱利用と気積削減を検証

菱機工業株式会社は、山洋電気株式会社の製造工場におけるカーボンニュートラル実現と環境配慮型の製造環境構築に向け、信州大学高村研究室と連携した共同研究を実施した。工場内で発生する排熱を有効活用する「排熱利用」と、未利用上部空間を削減する「気積削減」の2手法を立案し、実測やシミュレーションによる効果検証を行っている。研究成果は2026年9月に開催された学会大会で発表された。

既存資源を有効活用する2つの施策を立案

2050年カーボンニュートラルの実現に向け、製造現場では生産活動と環境負荷低減の両立が求められている。こうした背景から、長野県上田市に所在する山洋電気の延床面積36,500㎡の製造工場を対象として、菱機工業と信州大学が現地実測を実施した。

研究では設備更新のみに依存せず、既存施設内に存在する熱や空間を有効な資源として捉え、現場の実情に即した以下の2つの施策が検討された。

  • 排熱利用:環境試験室の恒温槽からの排熱や環境試験室内の空気を活用し、上階会議室の暖房に利用する手法
  • 気積削減:機械製造室の未利用上部空間に天井を設置することで、空調対象となる空間容積を削減する手法

恒温槽の排熱活用による暖房負荷の削減

環境試験室には多数の恒温槽が設置されており、冬期でも室温が高い状態にある。研究では、恒温槽から発生する排熱と室内空気を活用し、上階にある会議室の暖房に利用するケースを設定した。

室内温湿度、排気温度、風量などの実測データをもとに「TRNSYS18」を用いて暖房負荷をシミュレーションした結果、環境試験室内の空気と恒温槽の排熱を併用したケースにおいて、現状と比較して以下の削減効果が見込まれることが分かった。

  • 暖房負荷:97.0%削減
  • 暖房運転に伴うCO₂排出量:87.5%削減

これにより、製造工程で発生する排熱を別室の暖房用熱源として有効活用できる可能性が示された。

未利用上部空間の削減による空調負荷の低減

機械製造室を対象とした検証では、高天井空間のうち未利用となっている領域に着目した。天井を新設することで空調対象となる気積を47%削減する条件を設定し、シミュレーションを実施した。

その結果、以下の削減効果が見込まれることが確認された。

  • 空調負荷:30.6%削減
  • 空調運転に伴うCO₂排出量:31.8%削減

空調対象となる空間を適切に見直すことで、既存建物の使われ方に応じた省エネルギー化が可能であることが示されている。

実装に向けた検討と学会発表

本研究では、製造現場の実測データと信州大学の専門的知見、シミュレーションを組み合わせることで、設備更新だけに頼らない環境負荷低減手法の有効性が定量的に示された。

研究成果は、2026年9月2日(水)から4日(金)まで開催された「令和8年度 空気調和・衛生工学会大会(遠州・袋井)」において発表された。今後、3者は本研究で得られた知見をもとに製造現場への実装に向けた検討を進め、カーボンニュートラルに貢献する実効性のある手法の確立を目指すとしている。

参画組織の概要

  • 山洋電気株式会社(本社:東京都豊島区、代表取締役社長:児玉 展全):冷却ファンや無停電電源装置、サーボシステムなどの開発・設計・製造・販売を展開
  • 信州大学高村研究室:再生可能エネルギーや高効率設備の導入を通じてSDGsの達成に貢献する建築物の開発に取り組み、実測と企業との共同研究を重視
  • 菱機工業株式会社(本社:石川県金沢市、代表取締役社長:北川 雅一朗):空気・水・エネルギーに関わる建築設備事業を展開する環境エンジニアリング会社

本記事は菱機工業株式会社の発表をもとに作成。

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