日立システムズ、森林の自然資本を評価する推進支援サービスの提供を開始
株式会社日立システムズは、森林の情報を可視化する「森林調査DXサービス」のオプションとして、森林の自然資本を科学的に定量評価する「ネイチャーポジティブ推進支援サービス」の提供を開始します。同社が持つ森林解析技術や知見と、サンリット・シードリングス株式会社が持つ生物多様性分析技術を組み合わせ、森林の状態を評価して将来変化をシミュレーションします。企業や自治体、森林組合などが取り組む施策の成果を可視化し、情報開示やステークホルダーへの説明を支援します。
本サービスは、水源涵養機能、炭素蓄積量、生物多様性の観点から評価対象地域の森林の状態を評価し、将来の変化をシミュレーションするものです。
具体的には、ドローン分析、環境DNA分析、GIS分析、野外調査を用いて生物多様性評価を実施します。生物多様性の評価に採用されている環境DNA分析は、ネイチャーポジティブ・イニシアティブ(NPI)が2026年10月13日に正式版を公表した世界共通の自然評価の指標・枠組みである「自然の状態(SoN:State of Nature)指標」の測定ガイダンスにおいて、自然の状態を把握する方法の一つとして示されています。
取得したデータをもとに現状を評価したうえで、立地条件に適した樹種を植栽する「適地適木」の考え方で森林造成を行った場合の将来変化をシミュレーションします。
実証実験で確認された経済価値の算出
本サービスは、2025年11月から2026年3月にかけて群馬県森林組合連合会の協力のもと実施した実証実験の結果を基に開発されました。林野庁が2026年3月に公表した「林地における水資源涵養量(貯留機能)の簡易評価手法」を参照し、環境省が2025年5月に公表した「自然資本の経済的価値評価の活用可能性について」に示された評価式を用いることで、森林が持つ自然資本の経済的価値を算出できます。
群馬県での実証実験では、対象森林の水源涵養機能による渇水・洪水・土壌劣化防止の効果を評価したところ、総面積約50haあたり年間約4,900万円の便益が生まれることが確認されました。さらに、適地適木の考え方に基づいて森林整備を行った場合は年間約6,000万円までの便益向上が見込まれることも確認されています。
背景と今後の展開
企業には気候変動対策に加え、自然資本への取り組みと成果の説明が求められています。2022年に採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)」やTNFD提言への関心の高まり、日本国内での「ネイチャーポジティブ経済移行戦略」や「ネイチャーポジティブ経済移行戦略ロードマップ(2025-2030年)」の策定を背景に、自然環境の改善効果を定量的に可視化するニーズが高まっています。
日立システムズは、森林解析技術と全国約300拠点のネットワークを活用し、全国の企業や自治体、森林組合に向けて本サービスを提供します。今後は評価や可視化、将来シミュレーションにとどまらず、森林でのネイチャーポジティブ活動の実行を支援するサービスの検討も進めるとしています。
関連企業概要
- 株式会社日立システムズ:日立グループの社会イノベーション事業を支える企業として、サステナビリティ経営を推進し、システム開発から運用・保守・工事までをワンストップで提供
- サンリット・シードリングス株式会社:京都大学発のスタートアップ企業で、生態学の知見から独自開発した手法「Biosphere Viewer」を用いた生態系・生物多様性の評価や、生態系の再設計・再構築支援を展開
本記事は株式会社日立システムズの発表をもとに作成されています。
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