NTTが高EQ対話知性技術を開発 状況理解などの評価スコアが平均で約23%向上
東京都千代田区に本社を置くNTT株式会社(代表取締役社長:島田 明、以下「NTT」)は、AIの対話プロセスをEQ(感情的知能指数)の観点で評価・改善する「高EQ対話知性技術」を開発しました。AIがユーザの状況を理解し、実生活における長期的な望ましさも考慮したうえで、何をどのように伝えるかを調整できるようにする技術基盤です。AIの感情知能を測る公開テストでは、状況理解力や相手の立場を考えた課題解決の項目において、技術適用前と比べてスコアが平均で約23%向上しました。
開発の背景とAIの過度な同調への課題
近年、AIエージェントは質問への回答にとどまらず、日常のさまざまな場面でユーザを支援するパートナーとして役割を広げています。一方で、AIがユーザの意見や感情に過度に同調・迎合する「シコファンシー」と呼ばれる現象をはじめ、AIの応答が及ぼす影響が新たな問題として指摘されています。
シコファンシーの傾向があるAIは、ユーザから肯定的な評価を受けやすい反面、誤った思い込みを強めたり判断を振り返る機会を失わせたりする可能性が報告されています。その背景には、AIが発話に表面的に反応してその場の満足度を高めることを優先し、ユーザにとって何が本質的に望ましいかを踏まえて判断できていないという課題がありました。そこでNTTは、快適な対話と長期的に望ましい関わりの両立を目指し、EQ(Emotional Intelligence Quotient:感情的知能指数)の観点を取り入れた技術開発を進めました。なお、EQはIQ(知能指数)が認知的知能の高さを表すのに対し、感情的知能(Emotional Intelligence ; EI)の高さを表す用語として一般に使われています。
技術を構成する3つのアプローチ
高EQ対話知性技術は、状況や場面に応じた適切な応答を生成するため、主に以下の3つの要素技術で構成されています。
- 高EQ発話最適化:多面的な評価観点から、AIによるユーザの状況理解や応答内容、表現方法を最適化する技術
- 物語(ナラティブ)型ユーザ情報表現:発話内容の事実を単に羅列するのではなく、行間を推測しながら経緯や背景を補完し、ユーザ自身を主人公とした物語形式で記憶する技術
- ハイコンテクスト対話:相手の背景や好みを考慮して伝える情報量を調整し、既知の情報を省きながら簡潔かつ自然に伝える技術
物語形式で情報を記録することで、LLM(大規模言語モデル)が文脈として出来事のつながりを参照しやすくなり、理解力の向上が期待できるとしています。
自らの発話を評価・改善する発話最適化と検証結果


高EQ発話最適化では、人間同士のコミュニケーションにおける指標を基に、AIに必要なEQ能力として以下の4つの観点を設定しています。
- 対話相手の背景を理解する力
- 対話相手に寄り添う力
- 理解した内容を応答に活かす力
- 対話相手の社会的関係性を考慮する力

これら4つの観点をAIに適用し、自身の発話内容を評価・改善する学習技術によって、相手の状況を踏まえた発話生成が可能になります。
難しい対人場面での状況理解力や応答力などを測定する市中データセット「EQ-Bench3」(当社調査)を用いた公開テストでは、状況を理解する力や相手の立場を考えた課題解決の項目について、技術適用前と比較してスコアが平均で約23%改善しました。この結果は、Claude Opus 4.6による自動ルーブリック評価(Warm、Empathy、Pragmatic、Social IQ、Insightful、Humanlike、Analytical、Assertiveの項目平均)から算出されたもので、EQの高い応答が可能であることが示唆されたとしています。
今後の展開と実証実験の予定

本技術は、2026年11月18日から25日までNTT武蔵野研究開発センタで開催される「NTT R&D FORUM 2026」にて展示発表される予定です。
今後はNTTドコモや外部パートナーと連携し、スマートフォン向けチャットサービスへの社会実装に向けた実証実験が進められます。AIが人に次ぐ第二の相談相手として日常的に意思決定などを支える状態を目指すとしています。
本記事はNTT株式会社の発表をもとに作成されています。 関連URL:
- EQ-Bench3:https://eqbench.com/about.html#eq-bench-3
- NTT R&D FORUM 2026:https://www.rd.ntt/forum/2026/
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