Dellows News

Helical Fusion、東京都のレジリエンス強化プログラムに採択

核融合エネルギーの実用化を目指す株式会社Helical Fusionは、東京都が実施する「SusHi Tech Global 資源・エネルギー等レジリエンス強化プログラム」に採択された。同社は核融合プラントの最重要技術のひとつである「高温超伝導(HTS)マグネット」の生産技術の確立に取り組む。本事業を通じ、最長18か月間の取組に対して1件あたり最大2億円の資金サポートやオーダーメイド型伴走支援を受ける予定だ。

高温超伝導マグネットの生産技術確立へ向け伴走支援

東京都が実施する「SusHi Tech Global 資源・エネルギー等レジリエンス強化プログラム」は、スタートアップの革新技術を活用して省資源・省エネルギーや資源循環の実現を目指す事業である。グローバルイベント「SusHi Tech Global Startups」に選定された企業の中から最大5件が採択され、Helical Fusionも「SusHi Tech Global STARTUPS」に選出されている。

同社は独自開発の高温超伝導マグネット材料である高温超伝導ケーブルについて、2025年10月に実証の成功を発表している。今回の事業では、先進的なケーブルの接続技術のイノベーションなどを通じて実機向けの生産技術を確立する方針だ。高温超伝導技術は、核融合発電所の効率化だけでなく、データセンターや電力網向けの大容量給電など幅広い分野での応用が期待されており、都内の製造パートナーや学術機関等とともに産官学連携の体制を築き、次世代エネルギー基盤の強靱化に貢献していくとしている。

岐阜県土岐市で進む最終実証装置Helix HARUKAの建設

東京都千代田区に本社を置き、代表取締役 CEOを田口昂哉が務めるHelical Fusionは、2021年に大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 核融合科学研究所(NIFS)の研究成果を活用してスピンアウトした企業である。NIFSは大型プラズマ実験装置「大型ヘリカル装置(LHD)」において、3,268秒間(約54分間)にわたるプラズマの維持や1億度を超えるプラズマ温度の達成などの知見を蓄積してきた。

同社が推進する「ヘリックス計画(Helix Program)」では、日本独自の核融合炉形式であるヘリカル方式を採用している。現在は核融合科学研究所(岐阜県土岐市)の敷地内にある専用スペースにて、最終実証装置「Helix HARUKA」の製造・建設が進められている。Helix HARUKAには高温超伝導ケーブルを用いたらせん状のコイルの巻線が完了しており、詳細設計に基づく建設が進んでいる。計画では、2020年代中をめどに二大開発要素である「高温超伝導マグネット」と「ブランケット兼ダイバータ」の個別実証を完了し、2030年代中にはHelix HARUKAによる統合実証および発電初号機「Helix KANATA」による世界初の実用発電を目指している。

商用核融合炉の三要件と国内外のエネルギー動向

Helical Fusionは、商用利用に向けた設計基準として以下の三要件を掲げている。

  • ①定常運転(24時間365日運転可能な安定性)
  • ②正味発電(プラントの外に電力を供給できる)
  • ③保守性(メンテナンスが可能)

フュージョンエネルギーは海水などから採取可能な燃料を用い、二酸化炭素を排出しない効率的な発電方法として期待されている。世界の人口が2050年までに約17億人増加すると予測される中、生成AIの普及に伴う電力需要の急増に対応する技術として国際的な開発競争が続いている。核融合プラント建設および電力市場は2050年までに世界で数百兆円規模に成長するとの試算もある。

国内では、2025年10月に発足した高市早苗総理大臣が率いる政権において、次世代革新炉や核融合エネルギーの早期社会実装が掲げられた。内閣府の「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」改定によるロードマップの提示や、重点投資対象17分野への選定により2040年までに3.1兆円の官民投資が目指されるなど、産業化に向けた動きが進められている。

本記事は株式会社Helical Fusionの発表をもとに作成。

アクセスランキング

今日

1週間