COMPASS小倉が角打ちトーク宇宙編を開催 宇宙ビジネスやものづくりで議論
2026年10月23日(金)、COMPASS小倉は開設8周年を記念した「角打ちトーク 宇宙編」を開催した。会場では参加者が酒やソフトドリンクを手に、スペースデブリや宇宙エンターテインメント、宇宙産業の収益性などをテーマに登壇者と意見を交わした。北九州発祥とされる角打ちの文化を取り入れ、専門性の高い宇宙という領域を参加者の身近な課題へと引き寄せる場となった。
学生や事業者が示す宇宙への多様な挑戦

イベント前半では、宇宙をテーマに活動する学生や事業者がそれぞれの取り組みを発表した。

九州工業大学1年の里見宇宙氏は「憧れから、挑戦へ。19歳が宇宙に向き合う理由」と題して登壇した。スペースデブリの問題に関心を持ち、将来貢献できる技術者を目指して1年生から研究活動に加わった経緯を紹介し、大気圏再突入時の環境影響などを含め多角的に解決策を探る重要性を語った。

続いて、約20年間にわたり映像制作に携わってきた株式会社スペースカウボーイの香月浩一氏が登壇した。同氏は成層圏まで物体を運ぶスペースバルーンを活用した謎解きキットや、スマートフォンを通じて遠隔地同士で星を見上げるような体験を提供する人工衛星など、宇宙とエンターテインメントを組み合わせた事業構想を説明した。
宇宙ビジネスの収益性と地域製造業の可能性

後半は、有限責任監査法人トーマツ 地域未来共創ラボ北九州の坂田道志氏がモデレーターを務め、トークセッションが行われた。
登壇者には、オガワ機工 取締役副社長の伊藤慎二氏、Kick Space Technologies代表取締役CEOの佐藤凛氏、九州工業大学特任准教授でKS4E代表の布施哲人氏、九州の宝箱 代表でFusic顧問の川元健一氏が名を連ねた。
セッションでは「宇宙は本当に稼げるのか」という問いに対し、オガワ機工の伊藤慎二氏が、初期の採算が合わない時期を経て事業の手応えを得るまでに5年から6年を要した実体験を語った。約30人の社員のうち数人が一般産業向けの通常業務と並行して宇宙案件に携わっており、既存事業を続けながら部分的に参入する手法が示された。
また、人工衛星やロケットの技術を分解すると地上産業の技術に通じる点が多く、北部九州に集積する機械、金属加工、電子基板、ソフトウェアなどの基盤を生かした地域サプライチェーンの形成に期待が寄せられた。

宇宙産業が直面する人材課題と地域連携
宇宙産業の成長に向けた課題として、技術者だけでなく事業を動かす人材の不足が挙げられた。川元健一氏は、技術を価値に変えて資金調達や組織づくりを担う経営人材や事業開発人材が不足している現状を指摘した。
市場環境や政策が急速に変化するなか、Kick Space Technologiesの佐藤凛氏も事業転換を重ねながら自社の価値提供領域を模索してきた経緯を明かした。営業、広報、財務といったビジネス分野の人材や異業種からの参入機会も広がっており、意欲を持って学び続ける姿勢が重視されている。
北九州や福岡の企業、大学、支援機関はすでに複数のプロジェクトで連携を進めており、議論を具体的な製品開発や受注といった成果につなげていく重要性が共有された。
本記事はCOMPASS小倉の発表をもとに作成されています。

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