NTTとJAXA、低軌道衛星MIMO技術で伝送容量最大約2.67倍の大容量化を確認
東京都千代田区に本社を置くNTT 株式会社(代表取締役社長:島田 明)と国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、低軌道衛星MIMO/IoT伝送装置(LEOMI)を搭載した小型実証衛星4号機を用いた軌道上実証実験を実施した。単一アンテナを用いる従来の通信方式と比べて最大約2.67倍の大容量化を確認したほか、地上の異なる2地点から同時送信された920MHz帯LPWA信号を衛星上で正常に分離・復調することに成功した。これにより、地上通信網が整備されていない海洋や山間部における超広域省電力センシングサービスへの応用が期待されている。
軌道上実証で伝送容量が最大約2.67倍に拡大
小型実証衛星4号機は2025年12月14日12時09分(日本標準時、24時間表記)に打ち上げに成功し、2026年3月より世界初となる「衛星MIMO技術を活用した920MHz帯衛星IoTプラットフォームの軌道上実証」の定常運用が開始された。2026年3月13日の定常運用開始以降、約5カ月間にわたり低軌道衛星MIMOの伝送実験が行われた。
送受信アンテナを1台ずつ用いる従来のSISO伝送と比較した結果、2026年5月5日の2×2 MIMO実証実験では伝送容量が平均約1.94倍、2026年5月24日の3×3 MIMO実証実験では平均約2.67倍となり、アンテナ数を増やすことによる大容量化効果が確認された。
さらに、低軌道衛星MIMOの通信路モデルを用いて軌道シミュレータから算出したチャネル容量のシミュレーション値と、実測値の変動トレンドが高精度に一致することも確認された。これにより、想定する衛星の軌道情報に基づいて衛星アンテナ数や地上局アンテナ配置を解析的に設計し、安定的な伝送容量向上を実現できることが期待されている。
2地点からの同一周波数IoT信号を衛星上で正常に分離

衛星センシング技術の実証実験では、地上の異なる2地点から同一周波数・同一方式のIoT端末より信号を同時送信し、衛星上で受信した信号の復調実験が実施された。
衛星側で受信した信号には2端末からの信号が重なっていることが観測されたものの、各信号に信号処理および復調処理を適用した結果、良好に分離・復調できることが確認された。この結果から、地上の2地点に設置されたIoT端末が、衛星と同一時間・同一周波数で通信できることが実証された。

超広域な海洋・山間部での活用と観測精度向上へ

技術の確立により、地上基地局を設置することなく、小型かつ省電力のIoT端末を地球上のあらゆる場所から大規模に収容することが可能となる。地上通信網が未整備の海洋や山間部などにおいて、インフラ設備の点検、環境モニタリング、スマートメータといったIoTサービスを低コストかつ広域に展開できると期待されている。
また、低軌道衛星-地上間のフィーダリンクの大容量化によって、観測衛星から高精細な画像やレーダー情報を取得できるようになり、気象情報、地形変化、海洋観測、災害予測などの観測精度向上にも寄与する見込みだ。

約1年間の運用を通じて技術確立をめざす
両者は2026年3月から約1年間の定常運用を継続し、衛星MIMOおよびIoTの実証実験を通じて技術の優位性を定量的に示し、技術確立をめざすとしている。低軌道衛星MIMO技術については送受信アンテナ数の異なる実験を複数の衛星パスで実施して統計的な効果を評価し、衛星センシング技術については多様な条件下での送信実験や電波環境試験を進める方針だ。

NTTでは「NTT C89」ブランドのもとで衛星を活用した社会インフラ関連の取り組みを継続して進めており、本研究成果は2026年11月18日~25日に開催される「NTT R&D FORUM 2026」で展示される予定となっている。
本記事はNTT 株式会社の発表をもとに作成されています。
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