NVIDIAがDSX発表、冷却水最大100%削減と電力効率化でAI基盤支援
NVIDIAは2026 年 10 月 21 日、ベルリンで開催されたGTC Berlinにて、欧州の主要エコシステム パートナーが冷却用水の消費量を最小限に抑え、より少ない電力で同じAI出力を実現するAIファクトリー構築に向けて「NVIDIA DSX」プラットフォームを採用していることを発表した。
同プラットフォームは、インフラ企業と共同開発したフルスタックのAIファクトリー向けリファレンス アーキテクチャであり、コンピューティング、ネットワーキング、ストレージ、ソフトウェア、電力、冷却を単一のシステムとして協調設計している。新たな処理能力の稼働開始を早めるとともに、電力網の信頼性を支えるためにワークロードの消費電力を調整できるよう支援する。
閉ループ式液冷とドライクーラーによる節水設計
従来の冷却塔は水を蒸発させることで熱を除去するため交換用水の継続的な供給が必要となるが、NVIDIA DSX リファレンス デザインは液冷コンピューティングと蒸発を伴わないドライクーラーによる放熱を組み合わせている。冷却液はコンピューティング機器から熱を吸収して閉ループ内を循環し、屋外用ドライクーラーが水を蒸発させずに熱を空気中に放出する。
NVIDIA Vera Rubin インフラは最大 45 度の冷却水温度で 100% の液体液冷をサポートしており、ドライクーラーを採用した設計によって施設の冷却用水消費量をほぼゼロに抑えることが可能となる。2 ギガワット規模の導入では、従来の冷却塔を用いたシステムと比較して18 万世帯の 1 日の水使用量に相当する1 日あたり 5,400 万リットルの節水を実現できる見込みとしている。なお、最も暑い時期に補助的な機械式冷却が必要かどうかは現地の気候条件によって異なる。
事業者が稼働させられる処理能力が利用可能な電力に左右される課題に対し、プラットフォーム内のソフトウェア群が対応する。DSX MaxLPS は割り当てられた電力予算内で電力を動的に配分し、事業者が最大 30% 削減した電力で同じ数のトークンを生成できるよう支援する。このソフトウェアはCoreWeave、Firmus、Google Cloud、IREN、Lambda、Nebius、Nscale、Sharon AIが検討している。LambdaがNVIDIA HGX™ B200 システムで実施した概念実証実験では、固定された電力予算内でクラスタ トークン スループットが 24% 向上し、GPU 容量が 19% 増加した。
また、DSX Flex はAIファクトリーを柔軟な電力負荷に変え、事業者が電力網のニーズやエネルギー価格に合わせてワークロードの消費電力を調整できるようにする。初期の試験では、Emerald AI、EPRI、Nebius、英国のNational Grid、NVIDIAが、シミュレーションされた電力網の変動に応じてNVIDIA Blackwell Ultra GPU クラスター上で重要ワークロードを継続稼働しながら消費電力を最大 40% 削減できることを実証した。アイスランドにあるNscaleのAIファクトリーでの評価でも、4 台の NVIDIA GB300 NVL72 ラックで DSX MaxLPS を活用し、264 キロワットの電力予算内で推論スループットが 49% 向上し、管理可能な GPU 容量が 37% 向上した。
仮想環境でのシミュレーションと運用管理の自動化
NVIDIAは、Vertivなどのパートナーが提供する検証済みの電力および冷却機器アセットを備えたSimReady Central LibraryをHugging Faceで公開した。PTCをはじめとするエコシステム パートナーがCADを用いたシミュレーション対応アセットの作成を支援しており、事業者はDSX Simと組み合わせて建設前にインフラ構成を仮想環境で検証できる。Nscaleもポルトガルとアイスランドの施設でDSX Simを活用し、デジタル ツインを構築している。
さらに、設置済みインフラの実稼働を支援するため、モジュール型のオープンソースソフトウェアであるNVIDIA DSX OSポートフォリオを拡充し、以下の3 つのコンポーネントを開発者向けプレビューとして提供する。
- NVIDIA Config Manager : AI ファクトリーのネットワーク設定を自動化
- NVIDIA Rack Management Service : ラック単位の電力、在庫、ファームウェア、スイッチの管理を提供
- NVIDIA Cluster Readiness Engine : 本番ワークロードの投入前に分散ワークロードを実行して GPU クラスターを検証し、障害の発生箇所を特定のノードに絞り込む
これらはNVIDIA Infrastructure Controller、NVIDIA AI Cluster Runtime、NVSentinelとともにインフラのライフサイクル管理の自動化を支援するもので、Aleria、Cassava、CoreWeave、Crusoe、Firmus、Firebird、G42、GMI Cloud、IREN、Lambda、Nebius、Nscale、Radiant、Sharon AI、Voltaなどのクラウド パートナーが検討を進めている。
欧州エコシステム全体での産業連携
欧州におけるAIファクトリー構築に向け、産業用ソフトウェアや設備関連の各社と連携が進められている。
- Schneider Electric は NVIDIA Vera Rubin インフラ向けの電力と冷却のリファレンスデザインを開発し、AVEVA と協力してデジタル ツインに取り組む
- Procore は DSX Sim と統合された建設管理プラットフォームを通じて構築を支援する
- Siemens は DSX Sim を活用して電力、冷却、音響をシミュレーションし、Dassault Systèmes と Vertiv は Vertiv OneCore インフラ向けのデジタル ツイン ワークフローを開発する
- ABB は SimReady アセットを開発するとともに、Infinitus 直流製品ポートフォリオを通じて 800 VDC(800 ボルト直流)の開発を推進する
また、Trane Technologies と Eaton は NVIDIA Vera Rubin リファレンス デザイン向けの統合設計でNVIDIAと協力した。Trane Technologies は DSX に基づく 250 メガワット規模の冷却リファレンス デザイン 3 件を含む計 7 件の熱管理システムのリファレンス デザインを公開している。
機器認定を行うNVIDIA DSX Ready プログラムでは、冷却液分配装置であるTrane Technologiesの LiquidStack GigaModular と Vertiv の 2.3 メガワットの CoolChip、Hitachi Energy のバッテリー エネルギー貯蔵システム(NVIDIA DSX Ready BESS 認定)が認定を取得した。さらに、GE Vernova、Hitachi Energy、Siemens Energy が電力網計画と電力インフラの連携で協力している。
NVIDIAのDSX製品管理担当バイス プレジデントであるウォーレン バークレー (Warren Barkley) は、欧州の技術的なリーダーシップは電力とインフラをいかに効率的にインテリジェンスに変換できるかにかかっていると指摘し、同プラットフォームが大規模かつ効率的な運用の実現を支援すると説明した。
企業概要
- 会社名: NVIDIA
- 証券コード: NASDAQ: NVDA
本記事はNVIDIAの発表をもとに作成されています。
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