フューチャー社員の主著論文2編がCSS2026で最優秀論文賞と研究賞を受賞
フューチャー株式会社のサイバーセキュリティイノベーショングループに所属するシニアアーキテクトの篠原俊一氏と、アーキテクトの中岡典弘氏による主著論文が、学術シンポジウム「CSS2026」においてそれぞれCSS最優秀論文賞とOWS研究賞を受賞した。
「コンピュータセキュリティシンポジウム(CSS)」は、情報処理学会コンピュータセキュリティ研究会とセキュリティ心理学とトラスト研究会が共催する、国内セキュリティ研究の中核をなす学術シンポジウムである。2026年10月19日(月)から23日(金)までの5日間にわたり浜松市で開催され、同社からは2論文の発表が行われた。
脆弱性検知条件の供給源を検証した論文がCSS最優秀論文賞を受賞
中岡典弘氏が発表者(シニアアーキテクト 篠原俊一氏が共著)を務めた論文「脆弱性検知条件の供給源の再検討 ―検知精度によるNVD・VulnCheck・一次データソースの比較とLLMによる構造化」が、CSS最優秀論文賞を受賞した。
同研究では、脆弱性データベースNVDにおいて検知条件が付くCVEの割合が、2023年までの100%から2026年には56.1%まで低下したことを提示している。さらに、データの供給元のみを変更して同一環境を検知する実験を通じて、検知条件が付与されていても製品によって検知精度が大きく異なることを明らかにした。その上で、供給元を製品ごとに検知精度で選ぶ必要性や、LLMを用いて一次情報を構造化する手法を示している。
中岡氏は、OSSの脆弱性スキャナVulsとそのデータベースの開発・運用を通じて生じた課題意識が研究の発端であると説明し、「今回の成果をVulsやFutureVuls(※2)の改善に生かし、より確かな脆弱性管理に貢献できるよう取り組んでまいります」とコメントしている。
上流データの変動を116日間観測した研究がOWS研究賞を受賞
篠原俊一氏が発表者(アーキテクト 中岡典弘氏、シニアアーキテクト 神戸康多氏が共著)を務めた論文「脆弱性情報の上流は安定していない:公開前検査による116日間の全数観測」は、OWS研究賞を受賞した。
脆弱性スキャナVulsのデータベースは40以上の公開データソースから全自動で構築・公開されている。本研究では、公開直前に前回版との差分を検査して大きな変化があれば公開を保留する「公開前検査」を本番環境へ導入し、116日間で943回のビルドを全数観測した。検査によって保留された69件をGit履歴で追跡したところ、59件が上流データソース側の変更によるもので、月次データの消失や大規模な書き換えが2日に1件の頻度で発生している実態を示した。これにより、欠陥のあるデータベースの公開を事前に2回防止した実績を持つ。
篠原氏は、脆弱性データベースを毎日自動作成する中で上流情報の不安定さに気付いたことが契機だったと述べ、自動検査と人の判断の組み合わせは途上としつつ、脆弱性情報を扱う関係者の参考になれば幸いであると語った。
フューチャー(東京都品川区、代表取締役社長 谷口友彦)では、先端技術に特化した専門チームと物流・金融・流通・製造・エネルギーなどの各業界に精通した事業部が連携し、基礎研究と社会実装の両輪でAIなどの先端技術の利活用を進めている。セキュリティ専門チームのサイバーセキュリティイノベーショングループでは、オープンソースでの技術公開や研究発表のほか、企業向けのセキュリティコンサルティングサービスや脆弱性管理サービス「FutureVuls」を提供している。
- ※1.「CSS2026」公式サイト:https://www.iwsec.org/css/2026/index.html
- ※2.「FutureVuls」はフューチャー株式会社の登録商標です。製品サイト:https://www.vuls.biz/
本記事はフューチャー株式会社の発表をもとに作成。
ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



