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東大やJAMSTECなど、深海でも速やかに分解する酵素内包プラスチックを開発

東京大学、海洋研究開発機構、群馬大学の研究グループは、NEDOが推進するムーンショット型研究開発事業において、深海などの微生物が極めて少ない海洋環境下でも生分解が大幅に速く進む「酵素内包生分解性プラスチック」の開発に成功しました。

本技術は、酵素を添加しても元の素材と同等の強度を保ち、使用中は分解せずに環境流出後の摩耗などで生分解が誘発される仕組みを備えています。研究成果は、国際総合科学誌「Nature」オンライン版に掲載されました。

深海での生分解速度を約30倍に向上

現在、毎年約800万トンのプラスチックごみが海洋に流出している可能性があると報告されており、その多くは自然環境下で300年以上分解しないとされています。従来の生分解性プラスチック研究では、水深757m~5552mの深海底で微生物により生分解されることが確認されていたものの、一部の素材では完全な分解に数年を要する点が課題でした。

今回の研究では、生分解性プラスチックにクチナーゼやリパーゼといった自然由来の分解酵素を熱軟化点以上で熱混練する技術を確立しました。この技術により、元のプラスチックと同等の強度や柔軟性を維持したまま、水温4℃・水圧7.6MPa(大気圧の約75倍)という深海の極限環境下でも酵素活性を保持させることに成功しました。

実証実験では、酵素を内包していない場合と比べて約30倍の速さで分解が進行しました。岸壁では1カ月以内、水深757m付近の深海でも5カ月以内に完全分解を達成しています。

使用中は分解を防ぐ生分解開始スイッチ機能

開発されたプラスチックは、埋め込まれた酵素が水のない環境下では分解活性を発現しない性質を持っています。そのため、ドライな環境下で製品として使用している間は分解がほとんど進みません。

環境中に流出した後に、物理的な崩壊や表面の摩耗によって酵素へ水が触れることで分解が始まる「生分解開始スイッチ機能」を備えています。また、本素材から作製した直径数十ミクロンのマイクロビーズが海洋環境下で速やかに分解されたことから、断片化によるマイクロプラスチック汚染問題の低減にも貢献するとしています。

研究成果の社会実装に向けた今後の展開

NEDOは今後、実際の使用環境における長期耐久性や安全性の検証を進める予定です。さらに、多様な生分解性プラスチック素材への適用拡大、酵素内包プロセスの効率化とコスト低減、スケールアップなどの社会実装に向けた取り組みを継続します。

本研究成果の詳細は、国際総合科学誌「Nature」オンライン版(2026年10月21日16時(ロンドン時間))に掲載されています。

  • DOI: 10.1038/s41586-026-11192-1
  • URL: https://www.nature.com/articles/s41586-026-11192-1

本記事はNEDO、国立大学法人東京大学、国立研究開発法人海洋研究開発機構、国立大学法人群馬大学の発表をもとに作成しました。

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