日立とケーエスケー、医薬品配送DX実証を完了 代行配送工数を60%削減
株式会社日立製作所と医薬品卸の株式会社ケーエスケーは、医薬品配送業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けたPoC(概念実証)を2026年9月末に完了した。日立の物流ソリューション「Hitachi Digital Solution for Logistics(以下、HDSL)」を活用し、急な状況変化に応じて配送ルートを自動編成する「ポイントダイナミック機能」を検証したところ、従来は営業担当者が代行していた代行配送工数を60%削減した(対象支店における配送担当者の稼働状況などをもとに算出)。ケーエスケーは2026年11月より各支店で順次稼働を開始する。
物流業界の課題と医薬品配送における制約
ドライバー不足や高齢化、働き方改革への対応、荷量の小口多頻度化が進むなか、将来的な輸送力不足への対応は物流業界全体の経営課題となっている。Fortune Business Insightsのレポート「Digital Logistics Market Size, Share | Growth Report [2034]」によると、世界のデジタル物流市場規模は2025年の376億4,000万米ドルから、2026年の438億9,000万米ドルを経て2034年には1,552億9,000万米ドルへ拡大し、予測期間中の年平均成長率(CAGR)は17.10%になると予測されている。
特に医薬品物流は、医療機関や薬局に対する短いリードタイムでの配送や急配、厳格な時間指定、確実な受領管理など高い配送品質が求められる。配送計画の作成後にも追加注文や荷量波動、配送担当者の欠員、利用可能車両数の減少などが発生するが、病院や薬局ごとの納品ルール、固定ルート、配送先の位置、荷量、時間指定などを短時間で同時に考慮する必要があるため、配送実行段階での調整はシステム化が難しかった。その結果、現場責任者や熟練した配車担当者の経験と勘による割り振りやルート組み替えが行われ、欠員時には営業担当者が配送を代行して本来の顧客対応や営業活動の時間が制約されていた。
本取り組みでは、急な欠員時にも医薬品供給を維持する動的配送最適化と、厳格な品質管理・ペーパーレス化を両立する仕組みが検証された。
- ポイントダイナミック機能による動的配送最適化
平常時は配送担当者が走り慣れた固定ルートを維持しつつ、欠員を検知した場合に最適化エンジンを起動する。配送先の位置関係、納品時間、車両の入場可否、荷量、各ルートの負荷・余力などの条件を照合し、別ルートでの代行配送が可能かを判断したうえで、欠員ルートの配送先を稼働可能なルートへ自動で再配分する。
- NFCカードによる電子受領
NFC(Near Field Communication、近距離無線通信技術)カードを活用し、紙伝票による受領作業をペーパーレス化する。配送担当者がスマートフォンで得意先のNFCカードを読み取ることで、事前登録された受領先情報と突合し、受領日時や証跡データを自動取得する。これにより「なりすまし」や「誤受領」を防止して配送品質を担保するとともに、紙伝票の回収・保管や支店での照合作業に伴う管理工数を削減する。
2026年11月からの順次稼働と今後の展望
日立とケーエスケーは2026年11月から各支店で順次稼働を開始し、ポイントダイナミック機能とNFCカードによる電子受領の現場定着を図る。
今後は倉庫から配送、得意先での受領までをつなぐ物流DXを推進し、配送領域の受注・リソース情報と倉庫内の作業・設備情報との連携を進めるとしている。さらに、フィジカルAIの活用も視野に物流センター、支店、配送、得意先までの情報と業務をつなぎ、状況変化に柔軟に対応する自律型サプライチェーンへの進化をめざす方針だ。
会社概要
- 株式会社日立製作所
2025年度(2026年3月期)売上収益: 10兆5,867億円 連結子会社数: 606社(2026年3月末時点) 従業員数: 全世界で約29万人(2026年3月末時点) ウェブサイト: www.hitachi.com/ja-jp/
- 株式会社ケーエスケー
事業内容: 近畿地方に根差した医薬品流通(卸)企業(バイタルケーエスケーホールディングスの主要事業会社) 拠点数: 近畿2府4県に32の営業拠点、3つの物流センター ウェブサイト: https://www.web-ksk.co.jp
本記事は株式会社日立製作所および株式会社ケーエスケーの発表をもとに作成。
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