オハラの光学ガラスが火星衛星探査機MMXのカメラや分光器に採用
株式会社オハラが製造する光学ガラスが、火星衛星探査機「MMX」に搭載された広角分光カメラ「OROCHI」およびラマン分光器「RAX」に採用された。MMXは火星の衛星フォボスからのサンプルリターンを目指す世界初のミッションで、大型基幹ロケット「H3」10号機により火星遷移軌道上に放出されている。今後は約1年かけて火星圏に到着し、観測やサンプル採取を経て2031年度に地球へ帰還する予定となっている。

広角分光カメラOROCHIへの採用
火星衛星探査機「MMX」には、11の科学ミッション機器と2つの探査技術獲得のための機器が搭載されている。このうち広角分光カメラ「OROCHI」は、衛星表面の地形や物質情報を観測するための装置である。
同カメラは衛星表面からの可視反射光を多波長で撮像し、火星衛星全球表層の観測や、サンプル採取地点周辺の含水鉱物・有機物などを計測する役割を持つ。観測カメラのレンズにオハラの研磨レンズ用光学ガラスが採用されており、精密な画像撮影に貢献する。

耐放射線光学ガラスが支えるラマン分光器RAX

ラマン分光器「RAX」は、フランス国立宇宙研究センター(CNES)およびドイツ航空宇宙センター(DLR)が共同開発したローバ(探査車)「IDEFIX」に搭載されている。IDEFIXは探査機本体より先にフォボスへ着地し、表面を覆う堆積層であるレゴリスの各種物性や観測データを取得して、母船着陸やサンプル採取運用のリスク低減に向けた表面探査を行う。RAXはその中でフォボス表面の鉱物組成分析を担う。


宇宙空間には放射線障害を引き起こす銀河宇宙線が存在し、ガラスは放射線にさらされると黒く着色する特性がある。RAXに使用されているオハラの耐放射線光学ガラスは、放射線による着色を抑制して透明性を維持することにより、過酷な宇宙環境下でも透過率をほとんど変化させず安定した性能を発揮する。
1935年創業で日本初の光学ガラス専業メーカーであるオハラは、アポロの月面着陸をはじめ宇宙・天文分野に数多く貢献してきた歴史を持つ。
過去には1969年のアポロ11号や1973年のNASA宇宙ステーション「スカイラブ」、1982年のスペースシャトルコロンビア号に搭載された。その後もすばる望遠鏡の主焦点カメラ(SC)や超広視野主焦点カメラ(HSC)、月周回衛星「かぐや(SELENE)」、大型天体望遠鏡「TMT」、小惑星探査機「はやぶさ2」、国内最大の望遠鏡「せいめい」、NASAの火星探査車「パーサヴィアランス」、小型月着陸実証機「SLIM」などに製品が採用されている。さらに、2026年のナンシー・グレイス・ローマン宇宙望遠鏡のコロナグラフ装置と広視野観測装置への採用も決まっている。
株式会社オハラの概要
- 社名:株式会社 オハラ
- 所在地:〒252-5286 神奈川県相模原市中央区小山1-15-30
- 代表者:代表取締役社長執行役員 齋藤弘和
- 事業内容:光学ガラス・特殊ガラスの製造・販売
- 資本金:58億5千5百万円
- 従業員数:468名(2025年10月末)
- URL:https://www.ohara-inc.co.jp/
本記事は株式会社オハラの発表をもとに作成。
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