Stripe インサイト:Stripe の数十億件のデータが示す地域別カード不正利用の最新動向
Stripe、カード不正利用動向を発表 APACが調査期間中で初の最低水準に
CATEGORY: テクノロジー
プログラマブルな金融サービスを提供するStripeは、2022 年 1 月から 2026 年 3 月の間に処理された数十億件の取引データを分析し、各国・地域におけるカード不正利用の傾向や要因についてのレポートを発表しました。調査によると、2026 年第 1 四半期にAPACのカード不正利用率が、調査期間中で初めて同社の全地域の中で最低水準となったことが明らかになりました。一方、南米は他地域と比べて高い水準が続いているほか、ヨーロッパ域内でも国ごとの差が浮き彫りになっています。
3Dセキュア義務化が進むAPACで不正利用率が大幅低下
分析対象のすべての地域の中で、APACの企業におけるカード不正利用率は2022 年から 2025 年にかけて最も低下し、2026 年には本調査期間中で初めて全地域の中で最も低い水準を記録しました。この背景には、オンラインカード決済における3Dセキュア認証の義務付けが効果を上げている点があるとみられています。

国別では、マレーシアで企業のカード不正利用率が2022 年から 2025 年にかけて74% 低下し、APAC内で最大の減少幅となりました。マレーシア中央銀行による多要素認証の実装や、SMSによるワンタイムパスワードからアプリ認証への移行といった厳格な義務付けが寄与した形です。日本企業においても同期間に毎年継続して低下しており、2025 年 4 月の3Dセキュア認証義務化も一因とされています。日本の2025 年のチャージバック申請率は2024 年の同期比で30% 以上低下しており、不正取引発生率も大幅に低下していると類推されています。
ヨーロッパの企業におけるカード不正利用率は2022 年から 2025 年にかけて21% 低下しました。早期からICチップ・PIN認証などを標準化してきたフランスが40% 減、イギリスが27% 減と主要市場が堅調に推移する一方、地域によるばらつきも生じています。
分析対象のヨーロッパ地域の中で唯一、スペインとポルトガルは2022 年から 2025 年にかけて毎年不正利用率が上昇しました。両国では認証のセキュリティコードとして生体認証やアプリ確認より不正利用されやすいワンタイムパスワードへの依存度が高く、信頼できる企業を装ったSMSで情報を抜き取るスミッシング詐欺の標的になりやすい傾向が指摘されています。
南米は高水準が継続 EMEA比160%高、APAC比151%高
南米企業のカード不正利用率は2022 年 1 月以降、全地域の中で最も高い水準で推移しています。2025 年もその差は大きく、北米比 65% 高、APAC 比 151% 高、EMEA 比 160% 高を記録しました。
エクアドル、パナマ、ブラジルでは2022 年から 2025 年にかけて改善傾向がみられたものの、南米全体では高い水準が続いています。要因として、現金依存度が高く検知システムが参照できる取引履歴が限られる点や、カード保有者に有利で事業者側に証明責任があるチャージバック制度、さらにメキシコにみられるような複雑な規制環境などが挙げられています。
Stripe Radarの保護対象を拡張
企業の海外進出を支援するため、StripeはAIを活用した不正利用対策ソリューション「Stripe Radar」の機能を拡張し、グローバルでサポートされているすべての決済取引を保護対象に加えました。これにより、銀行口座引き落とし、ステーブルコイン決済、デジタルウォレット、即時決済、キャッシュバウチャーまで対応範囲が広がります。
さらに、二要素認証を義務付けるSCA規制が適用される地域の企業に対し、AIを用いた3Dセキュア認証の最適化を通じて、全取引の不正利用を平均7.67% 削減しつつコンバージョンを1.2% 向上させる支援を行うとしています。
Stripeの概要は以下の通りです。
- 本社:サンフランシスコ、ダブリン
- 取扱規模:年間 1.9 兆ドル (約 300 兆円) 以上の決済(世界の GDP の 1.6% に相当)
- 公式サイト:https://stripe.com/jp
本記事はStripeの発表をもとに作成されています。
ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



