TOPPANホールディングス、慶應義塾大学と共同で量子コンピュータとAIを組み合わせ漫画・アニメーション画像を生成する実証を実施
TOPPANと慶大、量子計算と生成AIによる漫画・アニメ制作支援の実証実験を実施
CATEGORY: テクノロジー
TOPPANホールディングス株式会社と慶應義塾大学は、量子コンピュータと生成AIを用いた漫画・アニメーション制作支援に関する実証実験を2026年2月1日から7月31日まで実施しました。量子回路にフローマッチングの手法を実装してコア画像を生成し、AIで背景や着色、解像度を補完することで、256×256ピクセルの画像生成に成功したとしています。本共同研究はTOPPANデジタル株式会社と慶應義塾大学が開始し、2026年3月末にTOPPANホールディングス株式会社が契約上の地位を承継しました。
実証実験の背景と目的
画像生成AIの分野では現在、ノイズを取り除きながら画像を生成する拡散モデルが主流となっていますが、計算工程が多く生成に時間がかかる課題を抱えています。
そこで本実証では、従来のAI画像生成より少ない計算ステップで高速に生成できる手法であるフローマッチングに着目しました。慶應義塾大学がフローマッチングの手法を量子回路に実装してキャラクター構造などのコア部分を量子コンピュータで生成し、TOPPANグループが培ったAI技術によって背景生成・カラー化・高解像度化を補完するハイブリッドモデルを構築して実用性を検証しました。
現在のコンピュータで量子回路を再現したシミュレーションによる基礎検証では、解像度が低い手書き数字画像を用いて性能を測定しました。ハードウェア効率的案アンザッツの適応により演算回数を従来設計の約6分の1に削減し、指定した数字が正しく生成・識別された割合は従来設計の16%から78%へ向上しました。また、1万件の学習データを用いた比較において、生成画像の識別精度は現在のコンピュータによるAIモデルの54.3%に対し、量子モデルは78.3%を記録し、少量の学習データでも高い性能を維持できる可能性が示されたと推察しています。
ノイズの影響を受けやすい10qubitの量子コンピュータ実機による検証では、決められた識別ラベルで髪型や表情を指定した16×16ピクセルのグレースケール画像を生成し、16通りの条件に応じた画像生成が実機上で正確に動作することを確認しました。さらに、AI技術による高解像度化や着色を経て、実用に耐えうる256×256ピクセルのカラー画像として出力できることを実証しています。一方で、現在のコンピュータによるAIモデルに対する実機上での画像生成精度や生成時間の優位性については、今後の検証課題としています。
外部評価と今後の展開
本研究の成果は、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が主催する「NEDO懸賞金活用型プログラム/量子コンピュータを用いた社会問題ソリューション開発」において、慶應義塾大学 ヒト生物学-微生物叢-量子計算研究センター(Bio2Q)の小山尚彦特任教授とTOPPANとの共同プロジェクト「Qrazy Qreators」としてCool Japan部門の3位を受賞しました。
同プログラムのSeason2にも採択されており、2026年10月からは画像生成の解像度向上や自然言語による画像の条件指定を目指した研究フェーズを開始します。両者は将来的に、3D・4Dのシーン生成などへの展開を見据えた技術開発を推進するとしています。
実証実験の実施体制
- TOPPANホールディングス株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長COO:大矢 諭):拡散モデル・機械学習の知見提供、AI側の技術検証(画像編集、色・解像度補完)
- 慶應義塾大学(所在地:東京都港区、塾長:伊藤 公平):量子情報科学・量子計算アルゴリズムの知見提供、量子側の技術検証(量子生成モデル構築)
本記事はTOPPANホールディングス株式会社の発表をもとに作成されています。
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