三菱UFJ信託銀行・慶應義塾大学 共同研究開発遺言作成時におけるご本人の意思能力と遺言内容の理解状況の確認の高度化に向けた「遺言内容チェックシート」を三菱UFJ信託銀行全店で導入
三菱UFJ信託銀行と慶大、遺言内容チェックシートを共同開発 全店導入へ
CATEGORY: ビジネス
三菱UFJ信託銀行と慶應義塾大学医学部の研究グループは、遺言作成時における本人の意思能力と遺言内容の理解状況を確認・記録する「遺言内容チェックシート」を共同開発しました。2022年度から実施した135名参加の実証研究の成果を踏まえ、2026年10月より三菱UFJ信託銀行の全店で運用を開始する予定です。
この取り組みは、本人の考えを遺言内容に即して丁寧に確認するとともに具体的に記録を残し、意思に沿った資産承継を支援することを目的としています。なお、本チェックシートは遺言内容に即した対話を通じて確認を行うものであり、医療上の診断や法的判断を代替するものではないとしています。
開発の背景と共同研究の経緯
超高齢社会において、認知機能の変化に伴う金融トラブルや親族間の相続紛争が社会課題となっています。日本公証人連合会や法務省の公表データによると、遺言公正証書の作成件数や法務局への自筆証書遺言の保管件数が増加する一方で、最高裁判所の「司法統計」では遺産分割に関する審判・調停件数も増加傾向にあり、遺言作成時に意思能力や理解状況を丁寧に確認・記録する重要性が高まっていました。
三菱UFJ信託銀行では2016年以降、一定の要件に該当する遺言者に対して「改訂長谷川式簡易知能評価スケール」を意思能力確認の参考として活用してきました。こうした経緯から、慶應義塾大学の医学的知見を応用し、高齢者の意思決定を社会全体で保護・支援する「老年金融学」の実践モデル構築を目指して共同研究を開始し、実務に向けた改善を進めてきました。
医療現場の知見を応用したチェックシートの概要
共同開発されたチェックシートは、遺言者が対象となる財産、相続人・受遺者との関係、遺言の配分内容やその理由について自身の言葉で説明できるかを確認し、遺言作成の意思を確かめる対話形式のツールです。
医療現場で患者が治療方針を意思決定できるかを判断する半構造化面接法(MacCAT-T)の考え方を参考に設計されました。MacCAT-Tで用いられる「理解・認識・論理的思考・選択の表明」という4つの観点を応用し、金融機関の職員が対話を通じて確認と記録を行えるようにしています。
シートでは主に以下の項目について確認を行い、作成プロセスの記録を目指します。
- 所有する財産
- 家族構成
- 遺言の配分内容
- 配分を決めた理由
- 遺言作成による影響
- 選択の表明と論理的一貫性
今後の展開
三菱UFJ信託銀行は、チェックシートを活用した新たな業務フローを整備し、意思能力と理解状況を確認・記録するプロセスの標準化や記録管理の充実を図る方針です。また、同社と慶應義塾大学は、運用状況や利用者および現場の意見を踏まえ、チェックシートを活用した取り組みの充実に向けた検討を今後も進めていくとしています。
発表機関の概要
三菱UFJ信託銀行株式会社
- 設立:1927年3月10日
- 代表者:取締役社長 窪田 博
- 事業内容:銀行業務、信託業務
- URL:https://www.tr.mufg.jp/
慶應義塾
- 設立:1858年
- 代表者:慶應義塾長 伊藤公平
- URL:https://www.keio.ac.jp/ja/
本記事は三菱UFJ信託銀行株式会社および慶應義塾大学の発表をもとに作成しました。また、文中の統計データ等は日本公証人連合会「令和7年の遺言公正証書作成件数等について」、法務省「自筆証書遺言書保管制度の利用状況」、最高裁判所「司法統計」を参照しています。
ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



