前川製作所とHonda、グリーン冷媒を用いた蒸気生成ヒートポンプの実証試験を実施
産業用機械などを手がける株式会社前川製作所は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成事業(現在は「助成事業」から「補助事業」に名称変更)により開発した「グリーン冷媒を用いた産業用蒸気生成ヒートポンプ」の技術実証試験を本田技研工業株式会社(以下「Honda」)と共同で実施しています。実運用環境下での蒸気供給性能やエネルギー効率、CO₂削減効果などを確認し、2027年4月の販売開始に向けた仕様の精査と検証を進める計画です。
開発の背景と産業分野における熱需要の課題
ヒートポンプは100℃未満の温水プロセスで広く普及している一方、工場などの産業分野では100℃以上200℃未満の熱需要が多く存在します。従来はプロセス加熱のために化石燃料を燃焼させてボイラーから蒸気を生成するケースが多く、CO₂排出量の多さが脱炭素化の障壁となっていました。
給湯や洗浄、殺菌、乾燥、煮炊き、蒸し、発酵醸成、直接加熱などの工程においてボイラーを使わずに蒸気を供給できるヒートポンプ技術が求められています。また、現在日本で販売されている蒸気生成ヒートポンプの多くはGWP値(地球温暖化係数)の高い冷媒が使用されていることから、環境負荷の小さい低GWP冷媒(グリーン冷媒)を採用した機器へのニーズが高まっています。
開発されたヒートポンプは、前川製作所が培ってきた圧縮技術と熱制御技術を応用したものです。冷媒には環境影響が小さく(GWP=2)、低毒性・不燃(A1)のHFO1336mzz(Z)を使用しています。
製品の主な特長は以下の通りです。
- 140℃(0.36MPaA)の蒸気を安定供給
- COP(総加熱量)3を達成
- 自社製のスクリュー圧縮機を採用し、装置全体を総合的に設計
- 高温水からの蒸気生成にフラッシュタンク方式を採用
なお、システム運転には熱源水が必要となり、必要とされる温度や循環量は供給する蒸気温度および蒸気量によって異なります。
Honda寄居工場での実証試験と特許出願

本実証試験は、Hondaの埼玉製作所完成車工場(寄居工場)における自動車塗装ライン乾燥工程で実施されています。140℃の蒸気を安定供給した際のエネルギー効率やCO₂削減効果について、従来の化石燃料ボイラーと比較検証を行っています。
あわせて、実際の生産ラインでの運転条件に適した制御方法や機器構成の開発を共同で進めており、取り組みの一環として両社による共同特許出願も行われました。実運転環境における連続運転安定性や運用性の評価を通じて技術的課題の抽出と対策を進めており、蒸気供給システムとしての機能や負荷変動への応答性などの成果が見られているとしています。
2027年4月の販売開始に向けた展望
前川製作所は実証試験の結果を踏まえ、食品、化学、機械、医薬品といった蒸気需要の高い産業分野への展開を目指します。今後、製品仕様の完成度を高めるとともに量産化の準備を進め、2027年4月の販売開始を予定しています。
会社概要
- 会社名:株式会社前川製作所
- 所在地:〒135-8482 東京都江東区牡丹3丁目14番15号
- 代表者:代表取締役 社長執行役員 前川 真
- 創業:1924年5月15日
- 資本金:10億円
- URL:https://www.mayekawa.co.jp

本記事は株式会社前川製作所の発表をもとに作成しています。
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