大林組がほたて貝殻配合の塗料スキャロップペイントを開発 計3カ所で現場適用
株式会社大林組は、ほたて貝殻を粉砕して製造したバイオマスフィラーを配合した外装用水性ふっ素樹脂塗料「スキャロップペイント」を開発した。自社の技術研究所に整備した実験棟「オープンラボ3(OL3)」をはじめ、計3カ所で現場適用を実施した。建物の仕上げ材料における脱炭素化の推進と、海洋副産物の有効利用を図る。
2050年のカーボンニュートラル実現に向けて建設業界で建設資材の脱炭素化が進められる中、外壁などの仕上げ材料には建築物の美観と耐久性を保つ高い性能が求められている。構成材料を低炭素な材料に置き換える際には、従来と同等の品質を確保しながら環境負荷を低減することが課題となっていた。
東京都港区に本社を置き、佐藤俊美が社長を務める株式会社大林組は、建物の仕上げ材の脱炭素化に向け、2024年にほたて貝殻の粉末を利用したシーリング材「スキャロップシール®」の開発・現場適用を発表した。今回、この技術を塗料に応用してスキャロップペイントを開発し、環境配慮型仕上げ材のラインアップを拡充する。
原料の有効利用とCO2排出量削減
主成分が炭酸カルシウムであるほたて貝殻は、難燃性が高く焼却処理が難しいことや分解されにくいことから処分が課題となっている。スキャロップペイントでは、ほたて貝殻を粉砕し、塗料に用いられる炭酸カルシウムの代替となるバイオマスフィラー(生物由来の資源を用いた充てん剤)として再利用することで、廃棄物の削減を図る。

従来の塗料に使用される炭酸カルシウムは石灰石を原料として製造され、製造過程におけるCO2排出量は0.0879kg-CO2/kgである。一方、ほたて貝殻は成長過程で海水中のCO2を吸収・固定化して形成されるため、CO2排出量は-0.44kg-CO2/kgとなる。スキャロップペイントは、ほたて貝殻を粉砕したバイオマスフィラーを20%配合することで塗料製造時のCO2排出量を削減するとともに、ほたて貝殻に固定されている炭素を塗膜に取り込んで建物の一部として長期間保持する。
従来塗料と同等の耐候性能を実証
性能面では、紫外線や水、熱を人工的に与えて屋外で長期間使った場合の塗膜の劣化を短期間で確認する促進耐候性試験を実施した。実環境で約30年使用した場合に相当する試験時間約5,500時間の試験の結果、スキャロップペイントは、ほたて貝殻粉を含まない従来の水性ふっ素樹脂塗料と同等の光沢保持率および色差ΔEを示した。
色の変化量を定量化した数値である色差ΔEは、数値が大きいほど色の変化量が大きいことを示し、値が1未満であれば目視での変化はほとんど感じられないとされる。同社はこの試験結果から、スキャロップペイントが高い耐候性を有し、建物外壁の美観と塗膜性能の長期的な維持に寄与することを確認したとしている。


計3カ所での現場適用実績と今後の展開
スキャロップペイントは、これまでに以下の計3カ所で現場適用された。


- 大林組技術研究所 オープンラボ3(内装)
- 横浜シンフォステージ 3Dプリンター製ベンチ
- 新丸山ダム 仮設建物(ケーブルクレーン集中管理室)3Dプリンター製擁壁
大林組は今後、スキャロップペイントの製品化に向けた検討を進めるとともに、ほたて貝殻を活用した環境配慮型仕上げ材の適用範囲拡大に取り組む。新たな環境配慮型仕上げ技術の開発と普及を通じて、カーボンニュートラルの実現およびサーキュラーエコノミーの推進に貢献するとしている。
本記事は株式会社大林組の発表をもとに作成。
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