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ZENKIGEN、会話内容を隠して「気配」を伝えるリモートワーク向け音声技術の研究を発表

ZENKIGENと青学大、リモートワーク向け雰囲気共有の音声処理技術を発表

CATEGORY: テクノロジー

株式会社ZENKIGENの主任研究員である橋本 一生氏と青山学院大学の野澤 昭雄教授らによる共同研究グループは、リモートワーク環境における雰囲気共有のための音声処理技術に関する研究論文を発表しました。論文は国際学術誌「IEEJ Transactions on Electrical and Electronic Engineering」に掲載されています。本研究では、プライバシーの保護と作業への集中を妨げないこと、そして職場の雰囲気共有を両立する音声加工アプローチの有効性が検証されました。

研究の背景と課題

リモートワークにおいてチームとのつながりを保つ手段として、互いの音声を共有するテレプレゼンス技術が注目されています。オフィスでは周囲の声や物音から場の雰囲気を自然に察知できますが、在宅勤務ではそうした情報が得にくく、孤独感や所属感の低下を招きやすい点が課題となっていました。

一方で、オフィスの音声をそのまま配信すると、会話内容への注意による集中力の低下や、個人情報・業務情報の漏えいといったプライバシー上の懸念が生じます。そこで研究グループは、音声を話者識別の手掛かりとなる「個人性」と、会話内容などの「文脈」に分類し、個人性を残しながら文脈を減らす加工方法の検証に取り組みました。

音声加工による実験の内容

研究グループは、音声の加工がリモートワーク時の心理状態や雰囲気の知覚に与える影響について、複数の実験を行いました。

22〜24歳の成人11名を対象とした実験では、ピッチシフトを用いて音声の音程を1オクターブ高くした条件、無音、元の音声の3条件で作業時の集中・意欲・孤独感・雰囲気の伝わり方などを比較しました。

さらに会話内容を聞き取りにくくするため、音声の時間構造を変化させる「時間伸縮音声」と、イントネーションを保持したまま「い(i)」と「う(u)」、「え(e)」と「お(o)」を入れ替えるなど日本語の母音を置き換える「母音変換音声」の2種類を作成し、特性を検証しました。

実験から得られた結果

実験の結果、元の音声をそのまま流した場合は孤独感が下がる一方で注意が向き、主観的な集中や意欲が低下する傾向が見られました。これに対し、ピッチシフトした音声では孤独感を低減しつつ、集中や意欲を維持できる可能性が示されました。

また、時間伸縮音声と母音変換音声を比較したところ、時間構造を大きく変えると会話内容は聞き取りにくくなるものの、話者らしさも損なわれ、個人性や雰囲気の伝達が下がる傾向が確認されました。一方、母音変換音声は言語情報を減らしつつ、時間伸縮音声に比べて話者の個人性や場の雰囲気を残せる可能性が示されています。

今後の展望と研究の意義

研究グループは、今回の知見により「音声を共有するか否か」の二者択一ではなく、必要な情報だけを選択的に残す音環境の設計が可能になるとしています。ただし本研究は若年成人を対象とした探索的実験であるため、今後は参加者数を増やした検証や実際の利用環境での追加検証、音声加工アルゴリズムの改良を進める方針です。さらに、映像情報の制御と組み合わせたテレプレゼンスシステムの実現を目指すとしています。

論文情報および会社概要

発表された論文の詳細は以下の通りです。

  • タイトル:The Influence of Audio Information Manipulation on the Perceived Atmosphere in Telepresence Systems for Remote Work
  • 掲載誌:IEEJ Transactions on Electrical and Electronic Engineering, Volume 21, Issue 11, November 2026
  • 著者:Ariyasu Ando(青山学院大学)、Yasuhiro Konagaya(青山学院大学)、Issei Hashimoto(ZENKIGEN)、Akihito Kobayashi(日本工学院八王子専門学校)、Kent Nagumo(青山学院大学)、Akio nozawa(青山学院大学)
  • URL:https://doi.org/10.1002/tee.70285

株式会社ZENKIGENの概要は以下の通りです。

  • 代表者:代表取締役CEO 野澤 比日樹
  • 所在地:東京都港区虎ノ門4-3-1 城山トラストタワー 21F
  • 設立:2017年10月
  • 事業内容:採用DXサービス「harutaka(ハルタカ)」の企画・開発、パートナーとの共同研究機関「ZENKIGEN Lab(ゼンキゲンラボ)」の運営
  • URL:https://zenkigen.co.jp/

本記事は株式会社ZENKIGENの発表をもとに作成されています。

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