奄美市が完全ローカル生成AIを運用開始 デジタル庁源内基盤で全国初自社調べ
鹿児島県奄美市は、デジタル庁のオープンソースソフトウェア「源内」を基盤とする生成AIサービス「AMAMI GENAI(あまみ げんない)」を庁内に構築し、運用を開始しました。外部インターネットとの接続を持たない完全ローカル環境で生成AIを稼働させ、情報流出リスクの排除を図っています。システムの設計・構築および構造化RAGの構築は、川口弘行合同会社が担当しました。
完全ローカル環境による情報流出対策とコスト削減
自治体が生成AIを導入するにあたっては、入力データの外部送信に伴う情報流出への懸念が障壁となっていました。今回の環境では、すべてのデータ処理が庁内のサーバーで完結するため、意図しない情報流出のリスクを根本的に排除します。
また、自前のハードウェア上でローカルLLMを稼働させる仕組みにより、クラウド型サービスで生じるトークン課金が発生しません。これにより、職員は利用回数を気にせずに日常業務で生成AIを活用できるとしています。
Open GENAIのメインコントリビュータによるOpen GENAIを用いた完全ローカル運用は、全国の自治体において初めて(2026年9月1日時点自社調べ)の取り組みとなります。
庁内の独自情報を反映する構造化RAGと提供機能
本サービスでは、事実と異なる回答を生成するハルシネーションを抑制するため、構造化RAGを採用しています。奄美市の条例・例規に加え、市議会の議事録や総合計画などの計画書類を事前に構造化データベースへ蓄積し、検索・参照した上で回答を生成します。議会議事録や各種計画書類を処理対象に含めることで、過去の答弁や政策の方向性を反映した実務的な回答を得られる構成となっています。

提供される機能は以下の通りです。
- 構造化RAG: 奄美市の条例・例規、市議会議事録、総合計画等の各種計画を構造化データベースとして蓄積・検索し、事実に基づく高精度な回答を生成。ハルシネーション(事実と異なる回答の生成)を抑制。
- 音声書き起こし: 会議等の音声からの文字起こし。
- 多言語翻訳: 多言語での翻訳機能。
- 政策立案補助(EBPM): 多様なデータを読み込ませ、客観的根拠に基づく政策立案を支援。
基盤となる「Open GENAI(オープン・ゲンナイ)」は、デジタル庁が公開した「源内」をベースに機能拡充されたオープンソース製品(OSS)です。「源内」は本来、Amazon Cognito認証やAmazon Bedrockなどのクラウド環境での稼働を前提に設計されています。
これに対し「Open GENAI」は、認証にKeycloak(SAML)、LLM呼出しにOpenAI互換API、チャット履歴にSQLite、ベクトル検索にQdrantを採用し、オープンソースの技術スタックに置き換えることでクラウドへの依存を排除しています。ソースコードはGitHub(https://github.com/hirokawaguchi/open-genai)で公開されています。
川口弘行合同会社の代表社員である川口弘行氏は、議会の議事録や総合計画までRAGに組み込んだことで単なる汎用AIではなく奄美市自身の文脈を理解するAIになっているとし、全国初の運用が他の自治体にとっても道標になればとコメントしています。
- サービス名: AMAMI GENAI(あまみ げんない)
- 構築事業者: 川口弘行合同会社
- 基盤ソフトウェア: デジタル庁OSS「源内」
- 稼働環境: 完全ローカル環境(外部ネットワーク接続なし)
- ハードウェア: NVIDIA DGX Spark ×2台(並列稼働)
- LLM: ローカルLLM(OpenAI互換API経由、GPT-OSS・Gemma等)
- ベクトルデータベース: Qdrant
- 認証: Keycloak(SAML)
本記事は川口弘行合同会社の発表をもとに作成しています。
ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



