マーシュ調査、世界のアセットオーナーで現金やインフラ配分の拡大傾向が判明
マーシュ(NYSE: MRSH)は2026年10月8日、2026年版 MARSH グローバル・アセットオーナー・バロメーターの調査結果を発表しました。本調査によると、運用資産総額5兆7,600億米ドルを有する世界の大手アセットオーナーの多くが、地政学的な不確実性や長引くインフレ、変化する投資機会を背景に、ポートフォリオの見直しを一層進めていることが明らかになりました。調査対象となったアセットオーナーの約半数(48%)が過去12カ月で地域別の投資配分を見直しており、3分の1以上がポートフォリオ全体のリスクを引き下げ(37%)、流動性または現金保有を増やしていると回答しています(37%)。
調査対象となったアセットオーナーの過半数(51%)は、今後12カ月でインフラへの配分を増やす意向を示しました。インフレ連動資産(41%)と新興国株式(47%)についても、エクスポージャーを拡大する予定となっています。
資産クラス別の見通しにおいて前年比で最も大きな変化が見られたのは現金で、今後1年で現金配分を増やす予定と回答した割合は38%となり、2025年の9%から大きく上昇しました。この動きについてMarsh Investments and Retirement のグローバル・チーフ・インベストメント・オフィサーである Niall O’Sullivan は、下方リスクへの備えと分散を強化する一方、市場機会に対応できる柔軟性を確保しようとする意図的なバーベル型のポジションを取っていることを示していると述べています。
調査対象430社のアセットオーナーにおいて、プライベートマーケットへの投資は96%が配分していると回答し、2025年の80%から上昇しました。一方で、プライベートデットおよびプライベートエクイティへの関心は前年に比べて落ち着きを見せており、今年プライベートデットの保有を増やす予定とした回答者は34%と、2025年の48%を下回っています。
アクセスの広がりとともに投資家の選別姿勢は厳しくなっており、44%がより厳選しながら投資ペースを維持していると回答しました。また、資本配分を左右する最も重要な要因としては47%がバリュエーションを挙げています。Marsh Investments and Retirement のオルタナティブ投資担当チーフ・インベストメント・オフィサーである Garvan McCarthy は、バリュエーションの高止まりや案件獲得競争の激化に触れ、高度な案件評価能力や規律の維持が優位性につながると指摘しています。
AIへの投資が加速する一方でガバナンス整備には課題
業務全体でAI活用の戦略的重要性が高まる中、利用を巡るガバナンス整備の遅れも浮き彫りになりました。回答者の約3人に1人(32%)は成熟したガバナンスがないままAIが部分的に活用されていると答え、23%は方針策定と限定的な試行の段階にあるとしています。全社的なAIポリシーを整備し、投資分野での具体的な活用例を定義している割合は13%にとどまりました。
その一方で、AI関連の支出は急速に拡大しています。今後12カ月でAIツールを設備投資の優先分野と位置付けるアセットオーナーは58%に達し、データ管理(46%)やリスクシステム( 33%)を上回る結果となりました。
短期的には地政学リスク、長期的にはテクノロジーが焦点に
短期的な意思決定と長期的なポートフォリオ設計では、着目される要因に違いが見られます。今後12カ月で最も多く挙げられた短期的な重要課題は地政学リスク(75%)で、次いでインフレ(73%)、AIまたはテクノロジーのディスラプション(73%)となりました。
これに対し、5年から10年の長期的展望では、83%のアセットオーナーがテクノロジー、自動化、そしてより広範なディスラプションを投資機会とリスクにとって重大な要因として挙げており、調査対象となった構造的トレンドの中で最も高い水準を示しました。Marsh Investments and Retirement のインターナショナル・チーフ・インベストメント・オフィサーである Deborah Wardle は、短期的には地政学リスクとインフレが影響し、長期的にはテクノロジーなどのディスラプションがリターンの源泉に大きな影響を及ぼすと分析しています。
調査および関連情報
本調査の概要ならびに発表企業の概要は以下の通りです。
- 調査名:2026年版 MARSH グローバル・アセットオーナー・バロメーター
- 調査対象:運用資産総額5兆7,600億米ドル超を有する世界のアセットオーナー430社(ヨーロッパ・中東42%、アジア太平洋地域28%、北米30%の25か国に所在する機関投資家および資産運用関連機関)
- 調査実施時期および方法:CoreData Researchにより、2026年6月から7月にかけてオンラインで実施
- 調査分析注記:一部のデータで過去のラージ・アセットオーナー・バロメーター調査と比較を実施(厳密な同条件比較ではなく、モメンタムや行動の変化を示す参考情報として提示)
- レポート全文URL:https://www.mercer.com/ja-jp/insights/investments/market-outlook-and-trends/global-asset-owner-barometer/
- 企業概要:マーシュ(NYSE: MRSH)はリスク、再保険と資本戦略、人材戦略、資産運用、経営コンサルティングの領域を展開し、世界130ヵ国にサービスを提供。年間売上高270億米ドル超、従業員数95,000名以上。ウェブサイト(http://corporate.marsh.com/ )、LinkedIn(https://www.linkedin.com/company/marshglobal/ )、X(https://x.com/marshglobal )
本記事はマーシュの発表をもとに作成されています。
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