沖縄発「Kwahuu Ocean」がイカの陸上養殖の商業化を目指し、プレシード資金調達を完了
沖縄科学技術大学院大学(OIST)発のスタートアップ企業、Kwahuu Ocean株式会社(本社:沖縄県恩納村)は、持続可能なイカ養殖システムの開発を手がけており、このたびライフタイムベンチャーズ(本社:神奈川県横浜市)から資金調達を完了した。調達資金は、生産体制やR&Dの強化に充て、事業成長を加速させる計画だ。
Kwahuu Oceanは、OISTの物理生物学ユニットにおける10年以上にわたる飼育経験に基づく技術のライセンスアウトを受け、イカ類3種の養殖システム開発と安定供給を目指している。同ユニットは2022年8月、ツツイカの一種であるアオリイカの累代飼育10世代を達成し、これまでの日本記録(3世代)と世界記録(7世代)を大幅に更新した。
Kwahuu Oceanのシステムは、季節に伴った小型養殖システムのネットワークによって構築されており、環境へのインパクトを軽減しつつ、各地域での必要最低限の生産数を目標とすることで、無駄を極限まで省くと同時に、きめ細かい食品生産に努める。また、ARやIoTといった技術を導入し、各地に分散した小型施設をつなぐことで、養殖でのノウハウ共有により精度の向上を促す。
創業者兼CEOの中島隆太氏は、「イカは非常に繊細な生き物で飼育が難しく、養殖については長年不可能と言われてきました。商業的な養殖を実現するためのR&Dに取り組み、小型分散型養殖モジュールを開発し、地産地消型の社会モデルを実現させることで、沖縄の自然環境を守りながら、そこに暮らす人々の生活を豊かにしていくことが当社のミッションです」と述べている。
ライフタイムベンチャーズ代表パートナーの木村亮介氏は、「日本近海のイカ漁獲は全盛期の1割まで落ち込み、世界有数の消費需要は南米産の輸入品に頼っている現状です。OISTの研究成果を基にして、真に持続可能な水産養殖と資源管理モデルの確立を目指すKwahuu Oceanの共同創業者兼リード投資家として、沖縄から世界へ、2050年の未来に届く壮大な挑戦にご一緒できることを心より嬉しく思います」とコメントしている。
Kwahuu Oceanは、持続的なイカ養殖システムの実現を通じて、沖縄から世界へ人々に幸せを届けることを目指している。今回の資金調達により、その実現に向けた取り組みがさらに加速することが期待される。