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千葉大の中込敦士准教授、AIが健康格差を生む道筋を説明する新枠組みなどを提唱

千葉大学予防医学センターの中込敦士准教授は、AIが健康格差を生み出し固定化させていく道筋を説明する新しい枠組み「RTAフレームワーク」を提唱しました。あわせて、AIの影響を導入前だけでなく導入後も継続して点検する評価手法「分配影響評価(DIA)」を提案しています。本研究成果は、2026年10月6日に学術誌Journal of Medical Internet Researchで公開されました。

AIが社会の仕組みを変える背景

AIは採用選考や職場の管理、行政サービスの割り振り、医療での判断補助など、人々が受け取る資源や機会を左右し始めています。健康は収入や仕事、教育、人とのつながりといった健康の社会的決定要因に大きく左右されるため、AIが社会の仕組み自体をどのように作り変えるのかを整理する枠組みが求められていました。

格差に関わる3つの道筋「再分配・変換・蓄積」

本研究では、AIが健康格差に関わる道筋を2つの仕組みと、それらを時間とともに増幅させる働きに整理しています。

  • 再分配(資源の配り方):AIは仕事や教育、所得といった資源の配り方を変えるほか、質の高いAIを使える環境や使いこなす力の差により、AI自体も不平等をもたらす新たな要因となります。
  • 変換(健康への結びつき方):立場が同じでも健康へのつながりやすさは異なり、米国では医療費を必要度の代わりに使ったアルゴリズムが黒人患者の必要度を低く見積もっていた事例があります。
  • 蓄積(時間による増幅):再分配と変換の影響は、AIの繰り返しの使用や制度への組み込みにより、本人が気づかないうちに増幅し固定化していきます。

継続して点検を行う分配影響評価(DIA)

これらの影響は、学習データの代表性や異議申し立てのしやすさ、導入後の点検といった条件次第で格差を縮める方向にも働きます。そこで、導入前後を通じて点検する評価手法として「分配影響評価(DIA)」が提案され、確認すべき指標、データ、担当する主体、実施時期が整理されました。中込敦士准教授は、今後は日本の大規模な追跡調査データで道筋を検証し、AIの影響を継続的に点検する仕組みづくりにも貢献したいとしています。

発表論文の概要

発表された論文の詳細は以下の通りです。

  • タイトル:Artificial intelligence and the reproduction of health inequity: A Redistribution-Translation-Accumulation Framework
  • 著者:Atsushi Nakagomi
  • 雑誌名:Journal of Medical Internet Research(Viewpoint)
  • DOI:10.2196/98158
  • 支援:日本学術振興会 科学研究費助成事業(課題番号:26K13299)

本記事は千葉大学の発表をもとに作成しました。

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