ispaceとアリアングループ、月面宇宙機や将来の月ミッション拡大で覚書を締結
株式会社ispaceとドイツのArianeGroup GmbH(アリアングループ)は、ispaceが計画している月面宇宙機や将来の月ミッションにおける協力関係の拡大に向け、覚書を締結した。本締結はトルコのアンタルヤで開催中の第77回 国際宇宙会議(IAC)で発表された。覚書にはispace EUROPEおよびispace-U.S.も共同署名者として参画している。

ULTRAランダーへのハードウェア採用と協業検討
ispaceは、現在開発中のULTRAランダーにアリアングループのパルススラスターおよび姿勢制御システム(RCS)用スラスターのハードウェアを採用した。アリアングループはULTRAランダーの組立・統合・試験(AIT)に関する支援も提供する。
両社は覚書締結によりULTRAランダー開発にとどまらない協業拡大の機会を検討する。日本、欧州、米国またはその他両社が合意する市場において、ispaceの現在および将来の月ミッション開発を支える体制強化を図る。また、ランダーの安定的な生産体制を整え、継続的な打ち上げの実現に向けた長期的な商業契約についても検討を行い、リードタイムの短縮や信頼性および品質の向上を目指すとしている。
8年間にわたる協力関係の発展
アリアングループは、ispaceのミッション1で使用されたRESILIENCEランダーに主要なスラスター推進部品を供給し、ドイツのランポルツハウゼンにある施設でランダーの組立・統合・試験(AIT)に協力した実績を持つ。
2021年には欧州宇宙機関(ESA)によりispace EUROPEとアリアングループが共同で選定され、月輸送および月面探査における商業パートナーシップを構築するためのパイロットフェーズに参加した。両社は最先端技術の分野で8年間にわたり協力を重ねており、今回の合意により将来開発を予定しているランダーシステムや月周回軌道上での活用に向けて協業範囲を広げる。
関係者のコメント
ispace代表取締役CEO & Founderの袴田武史は、宇宙機の開発や生産能力を拡大するうえで豊富な経験を有するパートナーとの関係構築が不可欠であるとしたうえで、「ULTRAランダーのみならず、ispaceが今後開発する宇宙機や将来の月ミッションにおいても共に協力していくことを楽しみにしています」と述べている。
また、ispace EUROPE CEOのJulien-Alexandre Lamamyは、今回の合意が月経済における欧州の役割を強化する重要な一歩になるとし、月探査における技術やサービスの提供を加速させたい考えを示した。ArianeGroup GmbHのStefan Ziegenhagen氏およびMarkus Abele氏も、長年の協力関係を強固にし、将来のランダーシステムや月周回軌道上での協業を推進する意向を示している。
発表各社の概要
- 株式会社ispace
- 代表者:代表取締役 袴田武史
- 所在地:東京都中央区(日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動、スタッフ約350名)
- 証券コード:9348
- 事業内容:月面資源開発に取り組む宇宙スタートアップ企業。小型ランダーや月探査用ローバーの開発、ルナ・コネクトサービスの提供を目指す。
- 実績・計画:2023年にミッション1、2025年にミッション2を実施。最速2027年に新ミッション2.5として月周回衛星1基の投入を予定。経済産業省のSBIR補助金を活用したランダーモデル「ULTRA(ウルトラ)」によるミッション3の打ち上げを2028年(※2026年10月時点の予定、関係省庁等と調整中)、ミッション4を2029年(※2026年10月時点の予定)に予定。
- URL:https://ispace-inc.com/jpn/
- ArianeGroup GmbH
- 概要:AirbusとSafranが折半出資する宇宙・防衛分野の企業。フランスとドイツに従業員8,700人を擁する。欧州宇宙機関(ESA)の欧州ロケット「Ariane 6」や、フランス装備総局(DGA)向けの戦略ミサイル「M51」の主契約企業を務める。
- 業績:2025年の連結売上高は26億ユーロ。
- 関連会社:子会社にSodern、Pyroalliance、Nuclétudes、APPのほか、商業サービスを展開するArianespace、再使用型ロケット「Maia」を開発するMaiaSpaceがある。
本記事は株式会社ispaceの発表をもとに作成。
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