Dellows News

NEDOなど、有用微生物を100万規模で探索するシステムを世界初開発

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業において、国立大学法人長岡技術科学大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所、国立大学法人広島大学、株式会社オンチップ・バイオテクノロジーズ、株式会社ニコンソリューションズは共同で「ミリオンスクリーニング技術」を開発しました。

本技術は、未培養・難培養微生物を高効率に可培養化し、有用な機能を持つ微生物が含まれる微小な水滴(ドロップレット)を100万ドロップレット規模で探索・取得するものです。あわせて、一次選別から画像による二次選別、回収までを一連の工程で行う「ドロップレット表現型スクリーニングシステム」を世界で初めて開発しました(オンチップ・バイオテクノロジーズ調べ、2026年8月時点)。

未培養・難培養微生物を高効率に可培養化

環境中に存在する微生物の多くは一般的な培養条件では培養が困難であり、産業上有用な微生物や遺伝子資源が未利用のまま残されているという課題がありました。

産総研および広島大学は、微生物を1細胞ずつ油中の微小なゲルまたは水滴(ドロップレット、直径数十〜100マイクロメートル程度)に内包し、凝集した状態あるいは高密度に培養することで、環境中の微生物の最大50%程度を可培養化できることを明らかにしました。さらに、mMD技術やGMD in WODL技術などのスクリーニング技術を確立し、培養例が極めて限られていた系統を含む多様な未培養微生物を分離株として獲得できることを実証しています。

1000倍の処理能力を持つ表現型スクリーニング

共同研究グループは、微生物を1細胞ずつドロップレットに閉じ込め、培養と機能測定を同時に行いながら目的の機能を示すドロップレットを高速に選別する表現型スクリーニング技術を開発しました。生きた微生物が示す酵素活性や増殖、生産能力などを直接測定でき、処理能力は従来のマイクロプレート法の1000倍に達します。

長岡技科大は本技術により、大学構内の土壌から採取した環境微生物を対象にタンパク質分解酵素を生産する微生物の探索を実施しました。約100万個のドロップレットを6時間で解析・分取し、高い活性を示す4種の細菌を取得したほか、そのうちの1株 Lysobacter soli から市販の工業用酵素の2.4倍の活性を持つ新規酵素を単離することに成功しました。また、ドロップレット内に7日間以上とどまる新規蛍光基質(反応効率は従来基質の最大4.7倍)の開発や、糸状菌の形質転換体選別(毎分8000ドロップレット、目的株の取得率96%以上)への応用も進められています。

画像選別と自動回収を統合した世界初のシステム

開発された「ドロップレット表現型スクリーニングシステム」は、高速な一次選別と画像を用いる二次選別を組み合わせています。

  • ニコンソリューションズ:画像解析と機械学習を用いたAI判定を行うイメージングユニットを開発
  • オンチップ・バイオテクノロジーズ:一次選別装置からイメージングユニットへの送液、AI判定結果に基づくプレートへの分注、プレートの交換・保管までを自動で行うシステム全体を開発
  • 産総研:蛍光を使用しない一次選別の高感度化を達成
  • 長岡技科大:実際の環境試料を用いた検証とシステム全体の有効性確認を担当

これにより、蛍光強度だけでなく微生物の形態や増殖状態、局所的な代謝産物などを指標とした選別とプレートへの回収が可能となりました。

2027年度末の製品化と社会実装に向けた展望

2027年度からは長岡技科大を中心としたスクリーニング拠点において技術のテスト運用が開始され、2027年度末にはオンチップ・バイオテクノロジーズが「ドロップレット表現型スクリーニングシステム」の製品化を予定しています。あわせて、画像選別機能に特化した簡易型システムについても、オンチップ・バイオテクノロジーズおよびニコンソリューションズの両社が製品化を計画しています。

また、社会実装を担う企業として2026年3月に長岡技科大発のスタートアップ「ECHIGO MICROBES 株式会社」(新潟県長岡市、代表取締役:中村彰宏)が設立され、本技術を活用した有用微生物の探索・育種受託サービスの事業化が進められています。

本技術の成果の一部は、2026年10月7日(水)から9日(金)までパシフィコ横浜で開催される「BioJapan 2026」に出展され、10月8日15時からはNEDOのスポンサーセミナー「微生物・酵素資源の新たな探索技術とその展開」でも紹介されます。

本記事はNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の発表をもとに作成しました。

アクセスランキング

今日

1週間