落合陽一による「計算機自然神社」が正式に創建
メディアアーティストの落合陽一氏が、岐阜県高山市の国指定重要文化財・日下部民藝館2階奥の間にて、「計算機自然(デジタルネイチャー)神社」を正式に創建した。
計算機自然神社は、「ヌルの神様」と「オブジェクト指向菩薩」を祀る神仏習合の神社だ。「ヌルの神様」は、計算機科学における「ヌル(Null)」の概念を神格化した存在で、何にでもなる存在であり、何でもない存在であるという概念を体現している。一方、「オブジェクト指向菩薩」は、仏教の大日如来に深く関連した存在で、システム全体の構造や具体的な現象を表現し、情報の世界と物質の世界を結びつける橋渡しの役割を担う。
創建式では、日下部民芸館1階の仮殿に祀られていた「ヌルの神様」を2階の奥間に移動させ、「オブジェクト指向菩薩」の隣に鎮座させることで正式に創建された。参列者は外国人も含め、お辞儀をしたり手を合わせて祈ったりと、国境を超えて一緒に祈る姿が見られた。
計算機自然神社は、デジタル技術と日本の神仏習合思想を掛け合わせ、創造性を引き出す新たな精神的な空間として、現代の信仰や文化・芸術に新しい風を吹き込むことを目的としている。「ヌルの神様」と「オブジェクト指向菩薩」の御利益は、「無から有を生み出す可能性の拡大」と「創造性と思考の深化」だという。
創建式には、全国各地の酒蔵から奉納のお酒が集まり、式の後に参列者に振舞われた。日下部民藝館2階の奥の間にて、「ヌルの神様」と「オブジェクト指向菩薩」が参拝者を待っている。