「サイレント閉館」が急増、博物館消滅の危機

一般社団法人「路上博物館」が独自に調査したところ、近年のミュージアムの閉館件数が急増していることが明らかになった。2022年までは年間約10件だった閉館が、2023年には21件と約2倍に増加。2024年9月の時点ですでに14件に上っている。

こうしたミュージアムの閉館は、報道でもほとんど実態が明らかにされていない。路上博物館はこうした、誰にも注目されずひっそりと閉館が進む状況を「サイレント閉館」と名付けた。

調査は、インターネット検索(Google News)を用いてミュージアムの閉館に関する報道の件数を調査(2024年9月4日調査)。同一施設の報道については1件として数え、個人のブログ等は利用せず報道機関(新聞、ウェブメディア、テレビ等)の情報のみを数えた。

ミュージアムには1館あたり平均3万2,000点の資料が存在。単純に計算すると、2023年の22件の閉館により約70万点の資料を観覧する機会を失ったことになる。

路上博物館 館長 森 健人

路上博物館の館長を務める森健人氏は、「サイレント閉館は現代を生きる私たちだけの問題ではなく、50年後、100年後の人々にとっての問題でもある。一度散逸し失われた資料は二度と手に入らない」と述べ、社会全体で取り組む必要性を訴えた。

路上博物館では、今後さらなる実態調査と公表、ミュージアムの展示のデジタル化と公開、クラウドファンディングによる寄付の呼びかけなどのプロジェクトを開始する。

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