スキージャンプ小林陵侑、291mで世界記録を大幅更新

スキージャンプの世界記録が更新された。レッドブル・アスリートの小林陵侑が2024年4月24日、アイスランド北部アークレイリのフリィザルフィヤットル・スキーリゾートに特設されたジャンプ台から飛躍し、驚異の291mを記録。これまでの世界記録253.5mを37.5mも上回る大記録となった。

小林のこの偉業は、ヒルサイズ(安全に着地できるランディングエリアの限界点)が300m級のジャンプ台が存在しないという制約を打破するための挑戦から生まれた。世界記録更新のためのジャンプ台を求め、2年間の調査を経てアイスランドの雪山に建設。標高1,115mから360mの高低差を超え、最大36度の勾配を持つこの特設ジャンプ台は、通常のラージヒル(約140m)やフライングヒル(185m)をはるかに凌ぐスケールを誇る。

小林は挑戦に備え、オーストリアのレッドブル・アスリート・パフォーマンス・センターやスウェーデンのウィンドトンネルでトレーニングを積んだ。そしてアイスランドに到着すると、4月23日に256mを飛び世界新記録を更新。24日には259m、282mと記録を伸ばし、ついに291mのジャンプを成功させた。

この時、小林のテイクオフ速度は約107km/hに達し、滞空時間は約8秒。通常のラージヒルの4〜5秒を大きく上回る桁外れの飛躍となった。

小林は「長年の夢でした。誰よりも遠くへ飛んでみたいと常に思っていましたし、スキージャンプの限界を押し広げ続けたいと考えていました」と喜びを語った。またプロジェクトには、プラダ リネア・ロッサの衣服やアクセサリー、藤原ヒロシ氏デザインのヘルメットなども活用された。

小林陵侑の偉業は、スキージャンプの新たな可能性を切り拓くものだ。レッドブルは今後も、限界に挑むアスリートやアイデアを支援していくという。