国指定天然記念物の葦毛湿原でサギソウ球根の投げ込みを確認 豊橋市が213株を除去
愛知県豊橋市東部に位置する国指定天然記念物の「葦毛湿原」で、指定地外から持ち込まれたとみられるサギソウ球根の投げ込みが確認された。豊橋市文化財センターと豊橋湿原保護の会は除去作業を実施し、213株を取り除いた。同センターは文化庁や豊橋警察署に報告・相談するとともに、現地に警告文を記した看板を設置する予定としている。
令和8(2026)年8月12日、木道沿いの狭い範囲に多くのサギソウが開花しているのが発見された。自然界ではありえない生え方をしており、3月ごろに球根が投げ込まれたことが原因と判断された。
豊橋市文化財センターと豊橋湿原保護の会は8月25日に除去作業を行い、5地点で213株を除去した。サギソウ球根の投げ込みは過去にも令和2(2020)年と令和7(2025)年に確認されており、いずれも豊橋警察署に相談している。


外来持ち込みによる遺伝子汚染の懸念と禁止事項
サギソウは自宅でも育てることができる植物だが、国内在来種のサギソウと栽培種は容易に交雑する。園芸種や国内種であっても他地域の植物を持ち込むと交雑による遺伝子汚染が起き、雑種となったものは地域固有種として認められず絶滅したと判断されることになる。また、過去に投げ込まれたサギソウの球根からは植物ウイルスに感染していたものも確認されている。

湿原内では、トキソウやハルリンドウ、コオニユリといった貴重な植物が盗掘される被害も発生しており、植物や昆虫の持ち出しは禁止されている。湿原保護のため、木道以外の場所を歩くことや、写真撮影のために三脚を立てること、ペットの持ち込みも禁止となっている。
葦毛湿原の特徴と植生回復の取り組み
葦毛湿原は令和3(2021)年10月16日に国指定天然記念物となった湧水湿地で、指定面積は32,684㎡に及ぶ。弓張山地山麗の緩斜面に広がり、東海丘陵要素植物、暖地系植物、寒地系植物、大陸系遺存植物といった植物群が混在して生育している。国の絶滅危惧Ⅱ類に指定されているシラタマホシクサなどが代表的な植物として知られる。
家庭へのガスの普及に伴い里山管理が行われなくなり森林化が進行していたが、2013年1月から大規模植生回復作業が継続された。行政や研究者、ボランティア団体の協働により、絶滅していた21種類のうち、15種の植物を復活させるなど湿地再生が行われてきた。
10月17日に葦毛湿原再生フォーラムを開催
湿原の再生に関する取り組みを紹介する「葦毛湿原再生フォーラム」が10月17日(土)に開催される。講演では葦毛湿原調査員の吉田豊氏と市文化財センターの贄元洋学芸員が登壇し、植生回復の方法や湿原の遷移、再生の過程について説明する。

フォーラムの概要は以下の通り。
- 会場:豊橋市民センター「カリオンビル」多目的ホール(豊橋市松葉町)
- 開催時間:午後2時~午後4時30分(開始30分前に開場)
- 定員:99人(当日先着順、事前申し込み不要)
- 受講料:500円
- 問合せ:豊橋市文化財センター(0532-56-6060)
※来場の際は公共交通機関の利用を呼びかけている。
本記事は豊橋市文化財センターの発表をもとに作成。
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