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A.T. カーニーが新技術のM&Aによるコア事業再生を論じた論考を公開

A.T. カーニー株式会社は、論考『テクノロジーの脅威を、コア事業の戦略的再生へ』(英題:From technology threat to strategic renewal)を公開しました。AIをはじめとする新技術によって既存の収益化の仕組みが変化するなか、コア事業を手放さずに必要な技術や人材を取り込み、再生・拡張していくための考え方や実行上の要諦を示しています。

新技術のM&Aにおける4つの前提

論考では、新しい技術のM&Aが過去20年のクロスボーダーM&Aをはじめとする従来型の規模獲得型買収と異なる点として、以下の4つを挙げています。

  1. 買収するのは現在のキャッシュフローではなく、技術領域の進化方向とチームである点
  2. 買収資産を受け入れるための戦略転換を先行させる必要がある点
  3. 創業者主導の企業では、条件交渉の前から信頼と文化的親和性が問われる点
  4. 対象企業や市場を特定する前からエコシステムとの関係構築を始める必要がある点

これに伴い、評価の中心についても前年の収益倍率や市場規模だけでなく、技術の差別化、開発チームの成長軌道、学習速度、希少人材の採用・維持力、プラットフォームや規制の変化への適応力を精査し、買収後に能力を受け入れられるよう戦略と組織を設計することが重要だとしています。

生きたネットワークを活用したスタートアップ探索の事例

論考では、Kearneyのイノベーションおよびベンチャー機能であるSilicon Foundryと連携した事例を紹介しています。AIを活用する特定の事業モデル領域で提携候補となる約20社のスタートアップを抽出し、3週間でCEOまたは主幹ベンチャーキャピタルとの約15件の対話へ進めました。その後、本格的な提携協議を3件に絞り、うち1件がデューデリジェンスを経て買収に至ったとしています。

なお、本事例は一般的な成果を示すものではないとしつつ、迅速な絞り込みを可能にした要因として、データベースやコールド・アプローチだけに依存せず、創業者、投資家、テクノロジー企業、学術・研究機関などとの信頼関係から成る『生きたネットワーク』を挙げています。

持続的な価値創出につなげる5つの要諦

テクノロジーの買収を持続的な価値創出につなげるため、論考内では五つの要諦が提示されています。

  • 戦略から始め、脅威を定量化する:技術を単なる成長テーマとして捉えるのではなく、コア事業の競争力や収益構造に及ぼす影響を特定し、リスクにさらされる価値を定量化する。
  • 生きたネットワークを通じて、先を読み、候補を探索する:データベースや限定的な現地拠点だけでは把握できない技術・人材・ディールフローにアクセスするため、イノベーション・エコシステムとの継続的な関係を築く。
  • 候補抽出から直接対話までを迅速に進め、ディール成立を仲介:変化の速い領域では、候補企業との対話を数週間単位で進めることが重要となる。買い手とスタートアップの間に立ち、戦略、プロセス、文化の違いを乗り越える橋渡しを行う。
  • 商業性に加え、技術とチームを精査:市場予測や財務モデルだけではなく、技術の競争優位性、人材の厚み、学習速度、変化への適応力を評価する。
  • 獲得した能力を全社展開し、無理な統合を避ける:買収先の自律性を損なうことなく、知識と技術を親会社へ展開する。案件成立前から、ガバナンス、組織、人材、文化を含む展開計画を設計する。

執筆者の一人であるA.T. カーニー パートナーのジェフ・ヴォリンスキ氏は、「重要なのは、そのコアを守ることと、過去の収益モデルを守ることを混同しないことです」と述べています。

論考と執筆者の概要

論考の詳細は以下の通りです。

  • 論考名:『テクノロジーの脅威を、コア事業の戦略的再生へ』(英題:From technology threat to strategic renewal)
  • URL:https://www.jp.kearney.com/issue-papers-perspectives/from-technology-threat-to-strategic-renewal

執筆者:

  • ジェフ・ヴォリンスキ(パートナー):タフツ大学卒業、コロンビア大学で経営学修士(MBA)と国際関係論修士(MIA)、東京大学で公共政策修士(MPP)修了。
  • 井上 真(シニアパートナー):東京大学卒業、ワシントン大学(ミズーリ州)MBA修了。
  • 櫻井 渚(ディレクター (Silicon Foundry)):鳥取大学大学院修了(農学博士)、NUCBビジネススクール修了(MBA)。

発表元であるA.T. カーニー(グローバル・ブランド名:Kearney)は、東京都港区に拠点を置き(日本代表:針ヶ谷 武文)、Fortune Global 500企業の4分の3以上などを支援する経営コンサルティングファームです。世界40カ国以上に拠点を展開し、日本には1972年に進出しています。

本記事はA.T. カーニー株式会社の発表をもとに作成しています。

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