ClassiqとINGL、天然ガス輸送計画における量子最適化の活用研究成果を発表
量子コンピューティングソフトウェア企業のClassiqとイスラエルの国有企業Israel Natural Gas Lines Ltd.(INGL)は、天然ガス輸送計画への量子最適化の活用に関する研究成果を発表しました。本研究では、実際のガス輸送網を想定したネットワークにおいて、運用上の制約条件を満たしながらガス供給量を最大化する輸送シナリオの特定を検証しました。対象となる最適化問題を縮小したモデルは、IonQのイオントラップ型量子プロセッサー「Forte-1」上で実行されました。
複雑化するガス輸送計画における課題
パイプライン事業者は日常的に、ネットワーク全体の圧力、ガスの流れる方向、ガスの需給バランスに関する制約を守りながら供給元から顧客へガスを輸送する課題に直面しています。ネットワークの規模拡大や運用条件の複雑化に伴い、考慮すべき圧力や流量の組み合わせは急速に増加します。
今回の共同研究は、量子最適化を活用することで有望なシナリオを体系的に特定し、エンジニアが詳細な工学的検証を行うための出発点を提示できるかを検証したものです。現時点での目標は既存の水理モデル解析や流体解析モデルを置き換えることではなく、運用計画の候補の生成や評価を補完することに置かれています。
量子・古典ハイブリッドによる検証と成果
両社はClassiqのプラットフォームを活用し、供給元の圧力、配管の特性、顧客への供給に必要な最低圧力などの入力データを用いて、主要な物理的・運用上の要件を考慮しながら取り得る圧力構成を探索する量子・古典ハイブリッドのワークフローを構築しました。
代表的なガス輸送ネットワークを用いたシミュレーター上の検証では、制約条件を満たしながら輸送量を最大化する運転条件が特定され、古典計算による参照解と一致する結果が得られました。さらに、問題の一部の構成をIonQ Forte-1上で実行したところ、物理的な制約条件を満たし、古典計算による最適解に近い運転条件の候補が得られました。
また、ガス輸送ネットワークの詳細な流体解析環境であるSIMONEを用いて、候補シナリオを検証する方法についても検討されました。数学的定式化や検証結果などの技術的詳細は、arXivで公開されている論文(https://arxiv.org/pdf/2609.00825)で確認できます。
関係者のコメント
Classiq共同創業者兼CEOのNir Minerbi氏は、石油・ガス業界の技術者にとって馴染みのある形で量子最適化を活用することに重点を置いたとし、既存の信頼性の高いツールを補完しながら有望な候補シナリオを提示することを目指していると述べています。
INGL CEOのShlomo Kresner氏は、複雑なネットワークのシナリオを評価・検証し、中期的な実用化に向けた実践的な知見を蓄積するための新たな手法として量子最適化の可能性を探っていると説明しました。
また、IonQ Chief Business OfficerのScott Millard氏は、Forte-1上でガスネットワークの最適化問題を実行したことで、エネルギー分野における複雑な計画課題に量子コンピューティングがどのように貢献できるかを実践的に評価できたとコメントしています。
発表企業について
Israel Natural Gas Lines Ltd.(INGL)
- 2003年に設立されたイスラエルの国有企業で、同国の天然ガス輸送システムの建設および運営を担当
- 公式サイト: www.ingl.co.il/en
Classiq
- 量子コンピューティングソフトウェア企業で、高レベルの機能モデルからハードウェア上で実行可能な最適化された量子回路を自動生成するプラットフォームを提供
- Fast Companyの「Next Big Thing in Tech 2025」を受賞
- 公式サイト: www.ja.classiq.io
本記事はClassiqの発表をもとに作成しました。
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