雪印メグミルクなど、母乳中糖鎖と乳児の気管支炎や食物アレルギーの関連を発表
東京都港区に本社を置く雪印メグミルク株式会社(代表取締役社長:佐藤 雅俊)と雪印ビーンスターク株式会社(代表取締役社長:松永 政也)は、共同で実施している「第3回全国母乳調査」において、出産後1~2か月の母乳に含まれる特定の糖鎖が、乳児の1歳までの気管支炎罹患歴および食物アレルギー発症歴と関連する可能性が示されたと発表しました。日本人を対象に糖タンパク質糖鎖を含む母乳中の糖鎖と乳児の感染症・アレルギーとの関連を探索的に解析した報告としては初めて(※3)となります。研究成果は、栄養学研究に関する国際学術雑誌「European Journal of Nutrition」に掲載されました。
日本人母子200組を対象とした母乳糖鎖の網羅的解析
母乳にはヒトミルクオリゴ糖(HMO)をはじめとする多様な糖鎖が含まれており、乳児の免疫機能や腸内環境、感染症・アレルギーとの関連が注目されています。しかし、日本人母子を対象に複数の母乳中糖鎖と乳児の健康との関連を網羅的に検討した研究はこれまで報告されていませんでした。
本研究では、日本人の母子200組を対象に、出産後1~2か月に採取した母乳中の糖鎖と乳児の1歳までの感染症・アレルギーとの関連を解析しました。測定対象として11種類のHMOに加え、28種類の糖タンパク質糖鎖(N結合型糖鎖やO結合型糖鎖)を設定し、ロジスティック回帰分析によって乳児の健康状態との関連を評価しています。
気管支炎や食物アレルギーの発症傾向との関連性が判明
解析の結果、母乳に含まれる特定の糖鎖が乳児の気管支炎や食物アレルギーと関連する可能性が示されました。
具体的には、シアル酸を含む一部のN結合型糖鎖やHMOの一種である6′-SLの濃度が高い母乳を摂取していた乳児において、1歳までの気管支炎罹患が少ないこととの関連が示されました。また、非分泌型母乳に多く含まれる糖鎖成分の一部(3-FLなど)の濃度が高い母乳を摂取していた乳児では、1歳までの食物アレルギー発症が少ないこととの関連が示されています。
本研究は観察研究であり、因果関係や特定成分の有効性を示すものではありませんが、母乳成分と乳児の健康との関連について理解を深める知見となりました。
今後の展望と発表論文の概要
今後は、より大規模な集団での検証や再現研究を進めることで、母乳中の糖鎖と乳児の健康との関連についてさらに理解を深めていくことが期待されています。
発表された論文の概要は以下の通りです。
- 論文タイトル:An exploratory analysis of the associations of human milk oligosaccharides and N-/O-glycans with infectious and allergic outcomes in the first year of life: The Japanese Human Milk Study Cohort t(邦題:母乳中オリゴ糖及びN/Oグリカンと乳児の1年間の感染症およびアレルギーとの関連に関する探索的解析:日本人母乳コホート研究)
- 著者:辻森 祐太1,2、山口 敏幸1,2、鳥羽 保宏1,2、福留 博文2、酒井 史彦2、上野 宏1,2、日暮 聡志1(1雪印ビーンスターク(株)商品開発部、2雪印メグミルク(株)ミルクサイエンス研究所)
- 掲載誌:European Journal of Nutrition
- DOI:https://doi.org/10.1007/s00394-026-04074-9
※1 第3回全国母乳調査:母乳哺育中の母親1,210名を対象に、母乳の提供とともに母親の食事内容や生活習慣、乳児の発育・疾病状況のアンケートを実施した調査。母乳は2015年から2020年にかけて収集し、乳児の発育・健康状況は2016年から2025年まで追跡調査を実施。 ※3 当社調べ。2026年6月3日時点でPubMed等の文献データベースを用いて調査した範囲において、日本人を対象に糖タンパク質糖鎖を含む母乳中の糖鎖と乳児の感染症・アレルギーとの関連を解析した報告として初。
本記事は雪印メグミルク株式会社の発表をもとに作成されています。
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