Dellows News

日立、生成AIの論理推論性能を高める技術を開発

日立は、高度な判断業務を生成AIによって支援するため、複数の根拠を一歩ずつ整理する論理的思考能力を高める技術を開発しました。2024年12月に公開した論理的思考データセット自動生成技術を発展させ、独自の論理パズルデータセットと既存の英語学習データを併用した学習を行うことで、日本語における論理推論性能の向上を確認したとしています。

開発の背景と課題

企業や公共機関では、制度、リスク、コスト、現場制約などの複数条件を踏まえて判断する業務が増加しており、判断に至った根拠を説明できることが重要視されています。生成AIは文書要約や検索支援などで活用が進む一方、根拠を論理的に積み上げる用途への適用には課題が存在していました。

日立は2024年12月、生成AIの論理的思考能力を高める学習データを自動生成する基本技術を公開し、最先端の生成AIを用いた評価で論理的な思考能力が平均約9%、最大30%向上することを確認していました。しかし、実務レベルの判断支援に向けては、結論に至る推論プロセスのさらなる改善や、日本語での適用性を高めることが求められていました。

開発技術の2つの特長

今回開発された技術には、主に以下の2つの特長があります。

  1. 独自論理パズルを用いた推論学習技術

複数の条件や制約から矛盾なく結論を導く独自の論理パズルデータセットを用い、結論の正誤を報酬として与える強化学習技術を適用しました。これにより、生成AIが試行錯誤しながら正しい結論に至る推論方法を学習できるようにし、複数条件・制約の整理や根拠を示す力の向上をめざしています。

  1. 英語の高品質データを活用した追加学習技術

日本語と英語の双方に対応する既存モデルに対し、英語の学習データ(https://huggingface.co/datasets/nvidia/Nemotron-CC-Math-v1、https://huggingface.co/datasets/OpenDataArena/ODA-Math-460k)を用いた追加学習を実施しました。これにより英語での能力向上を日本語に転移させ、日本語ベンチマークでの性能向上を確認したことで、日本語データが限られる領域でも英語学習資源を活用できる見通しを得ました。

学会での受賞実績と今後の展望

本技術に関連する研究成果(森下ら. 2026. 大規模言語モデルに推論を教えるための人工論理推論コーパスを用いたアプローチ. 自然言語処理: 32(2).)は、言語処理学会で最優秀論文賞を受賞したほか、生成AIへの追加学習効果を競うコンペティション「FT-LLM 2026」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jnlp/33/2/33_1081/_article/-char/ja)において1位を獲得しています。

日立は今後、本技術を活用してお客さまや研究機関、パートナー企業との協創を通じ、金融、公共、電力・エネルギーといった判断根拠の一貫性が求められる分野での実証や生成AI活用を進めます。Lumadaの強化に向けて専門知識とAIを組み合わせ、判断根拠の整理や説明を支援していく方針です。

本記事は株式会社日立製作所の発表をもとに作成しています。

アクセスランキング

今日

1週間