三極委員会アジア太平洋委員会がAIと安全保障のスタディグループを発足
三極委員会 アジア太平洋委員会(委員長:新浪剛史、事務局:公益財団法人国際文化会館)は、「AI、ヒューマンコントロール、戦略的安定性に関するスタディグループ」(正式名称:Trilateral Study Group on AI, Human Control, and Strategic Stability)を発足させました。安全保障・防衛分野でAIの活用が進むなか、武力行使や事態の拡大(エスカレーション)に関わる判断において人間による意味のある制御や説明責任、危機時の安定性を確保する方法を検討します。アジア太平洋、北米、欧州の三地域から有識者が参加し、2027年に最終提言を取りまとめる予定です。
設立の背景と検討内容
AIの軍事・安全保障分野への導入が進むにつれ、意思決定の速度や責任の所在、危機時のエスカレーション管理について新たな課題が生じています。AIが国家の意思決定や基盤インフラに組み込まれることによる戦略的影響など、既存の国際的な議論でも十分に掘り下げられていない領域が存在します。
本スタディグループは、無制限の開発競争と非現実的な開発凍結のいずれでもない責任ある道筋を示すことを目指し、政治、経済・金融、テクノロジー、法律、学術、安全保障の各分野の有識者が集まって検討を進めます。
三地域から選出された共同座長
本スタディグループの共同座長(Co-Chair)には、三極委員会の各地域から以下の3名が就任しました。
- アジア太平洋委員会:神保謙(慶應義塾大学教授/国際文化会館常務理事)
- 欧州委員会:ロベルト・チンゴラーニ氏(レオナルド社 前CEO)
- 北米委員会:ダグ・ベック氏(新アメリカ安全保障センター理事)
共同座長を務める神保謙氏は、3地域の知見を持ち寄って核指揮統制やバイオセキュリティ、異なるAIシステム間の相互作用を検討し、「人間の判断と責任を制度と運用の両面でどのように確保するかを明らかにし、政策担当者と実務家が利用できる具体的な提言につなげていきます」としています。
今後のスケジュール
本スタディグループは各地域の政策・技術コミュニティとの対話を重ね、以下の予定で議論や取りまとめを進めます。
- 2026年9~10月:三地域の専門家との協議を開始
- 2026年10月:国連総会第一委員会および生物兵器禁止条約(BWC)作業部会の結果を検討に反映
- 2026年11月:イシューペーパー(論点整理文書)の草案を作成
- 2026年 後半:アジア太平洋・北米・欧州の各地域会合で予備的結論を議論
- 2027年:最終提言の取りまとめ
三極委員会について
三極委員会(The Trilateral Commission)は、1973年に設立された国際的な民間非営利の政策協議グループです。北米・欧州・アジア太平洋の三地域のオピニオンリーダーが参加し、地政学、国際経済、金融、安全保障、先端技術、エネルギー、気候変動などの世界的課題を幅広く取り上げています。三地域合同の年次総会や地域会合を開催し、意見交換と相互理解の深化を図っています。
関連URL:https://ihj.global/trilateral/
本記事は三極委員会 アジア太平洋委員会の発表をもとに作成しました。
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