第38回國華賞を発表 藤原重雄氏の著作が受賞
株式会社朝日新聞社と國華社は、主催する第38回國華賞の受賞者を9月29日付で発表しました。最高賞にあたる國華賞には、東京大学教授の藤原重雄氏による著作「縁起絵・行事絵を読む―中世絵画史料論―」が選ばれました。そのほか、國華奨励賞に2件、國華展覧会図録賞に1件が選出されています。
各賞の受賞者と受賞作
第38回國華賞の各部門における受賞者および受賞作は以下の通りです。
- 國華賞:藤原重雄氏(東京大学教授)「縁起絵・行事絵を読む―中世絵画史料論―」(中央公論美術出版)
- 國華奨励賞:猪岡萌菜氏(千葉大学助教)「『常陸名所図屛風』研究」(思文閣出版)
- 國華奨励賞:久保佐知恵氏(サントリー美術館主任学芸員)「識字陶工木米の絵画における見立て――二つの『兎道朝潡図(うじちょうとんず)』を中心に――」(國華1560号)
- 國華展覧会図録賞:澤田和人氏(国立歴史民俗博物館准教授)「野村正治郎とジャポニスムの時代―着物を世界に広げた人物」展図録(国立歴史民俗博物館)
各受賞作の評価
國華賞を受賞した藤原氏は、日本中世社会の在り様について文献と絵画の双方を精緻に分析し、歴史学のみならず美術史学に新しい視点をもたらした点が評価されました。
奨励賞の猪岡氏は、17世紀末の常陸国を描いた屛風を読み解き、地域を描いた絵画の研究の可能性を示したと評価されています。同じく奨励賞の久保氏は、江戸時代の画家・木米の代表作を検討し、南画の実景図研究に新たな展望を開いた点が評価を受けました。
展覧会図録賞を受賞した澤田氏は、明治期から昭和前期にかけて着物を収集し世界に発信した美術商に注目した展覧会を企画し、コレクションに新たな価値を与えたとして評価されています。




選考と贈呈式の概要
本年度の選考は、上智大学名誉教授の小林宏光氏を委員長とする12人の選考委員によって行われました。受賞者には、國華創刊百周年記念顕彰基金から賞状、副賞、記念品が贈られます。
贈呈式は、10月22日(木)午後6 時から東京・築地の朝日新聞東京本社新館レセプションルームで開催される予定です。
美術研究誌「國華」と國華賞について
國華賞は、月刊誌「國華」の創刊100 周年を記念して1989 年に創設された賞で、日本・東洋の美術に関する優れた研究に対して贈られています。
國華社(主幹:佐野みどり)が編集する「國華」は、1889 年に岡倉天心らが創刊した月刊誌です。現在でも刊行されている中では世界最古とされる美術研究誌で、角田克氏が代表取締役社長を務める株式会社朝日新聞社が発行を支援し、朝日新聞出版が販売を行っています。
本記事は株式会社朝日新聞社および國華社の発表をもとに作成しました。
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